日本最初(?)のエスプレッソコーヒー提供店 【蒲田のサーラ・デ・カフェ】
蒲田のサーラ・デ・カフェはエスプレッソコーヒーのルーツの一つ
東京の蒲田に1980年前後に【サーラ・デ・カフェ】という小さな喫茶店がありました。
いつの間にか無くなってしまいましたが、ここは実は日本におけるエスプレッソコーヒー提供店のルーツの一つなんです。
一番最初に提供したお店ではないとは思いますが、私がこのお店に通いだした1979年当時は「エスプレッソコーヒー提供店は国内ではここと、もう1店しかない。」と聞かされました。
もう1店が何処なのか?どちらのお店が先なのかは分かりません。
でもそれほど日本でのコーヒーの歴史に大きな意味を持っていたお店だったんです。
私が通っていたのは1979年~1982年でした。
このお店があった場所はこちらです。(Google map)
バス通りから少しだけ横道に入った場所の1階で、このビルの上はビジネスホテルでした。
ビジネスホテルの宿泊客に朝食を出していたのがこのお店でした。
現在はビジネスホテルも閉店しているようです。
友人がここの常連で、誘われるままに行っていつの間にか私も常連になっていました。
友人通しの会話では単に「サーラ」と言っていました。
中は喫茶店と言っても腰を据えて深いシートに座ってコーヒーを楽しむというよりは現代風の非常にカジュアルな感じのお店でした。
当時よく行っていた渋谷などのルノアールなどと比べると非常に対局の店内だったと思います。
そしてエスプレッソ提供店はここともう一か所のみと聞かされても私は「へー」くらいしか思わず、当時のコーヒーの知識はアメリカン、ブレンド、ウインナーコーヒー(1970年~1980年代前半は流行りましたね。少なくとも首都圏では)くらいしか知りませんでしたからね。
でもイタリアから来た濃いめの独特な味のコーヒーとだけ知識を得ることになりました。
サーラ・デ・カフェのエスプレッソは今のより飲みやすかった
サーラ・デ・カフェで「コーヒー下さい」というと自動的にエスプレッソコーヒーだったんです。
現在、エスプレッソコーヒーというと小さいカップにかなり濃いコーヒーが入っていますよね?
上の方に泡が乗っていますが、それほどクリーミーな感じではなくて下のどす黒いコーヒーが見える感じで。まあお店によっても違いますけど。
サーラ・デ・カフェのエスプレッソコーヒーは今でいうブレンドクラスの普通のカップで、泡が今のエスプレッソコーヒーよりももっとクリーミーでコーヒー自体もそれほど苦くありませんでした。
苦かったかもしれませんが、大変にクリーミーな泡のおかげで苦いと感じなかったのかもしれません。
あまり覚えていませんがエスプレッソコーヒー以外のブレンドとか普通のものは無かった気がします。
あってもバリエーションコーヒーと言われるような例えばウインナーコーヒーとかだったと思います。
間口はあまり広くなく奥に細長い店内は奥の椅子に座るとコーヒーマシンが手前側にあったのでよく見えました。
多分イタリア製と思われる黒い重厚で大きなレバーハンドルが付いたマシンが印象的でした。
なお夏季に提供されるアイスコーヒーは普通の物でしたね。
私はコーヒー業界誌に写真が載った!
いつものように友人とコーヒーを飲んでいるとお店の人に「記者である」と男性を紹介されました。
(1人だったか2人だったかは覚えていません)
「記者」でも新聞社ではなくてコーヒー業界誌の方だったんです。
なんという業界紙だったかは忘れましたがとにかくコーヒーの業界の人しか見ないし一般には売られていないものです。
つまりサーラ・デ・カフェは当時国内でエスプレッソコーヒーを出す2店のうちの1店であるからそれの取材に来ていたんです。
記者から私に特段の質問とかは無かったと思いますが、「業界紙に載せる写真にあなたが写ってよいか?名前は出さない」とか言われて快諾したのを覚えています。
そしてその数か月後にお店の人から出来上がった業界紙を見せてもらったのですが私と友人の写真は白黒ページで非常に小さく写っていました。
ちょっとがっかりしましたが大きく写っても一般の人が見る本ではないのでどっちみち同じかな?と思いましたね。
サーラ・デ・カフェの軽食も絶品だった
このお店は純粋なコーヒーショップですが、軽食もありました。
その中で特にお金に困っていない時によく頼んでいたメニューが、「スパゲティサラダ(通称スパサラ)」でした。
今では弁当の総菜みたいなイメージですがサーラ・デ・カフェのスパサラは全く総菜とは異なり当時「これ以上うまいものは世界でもちょっと無い」と思うほどで友人も好んで注文していました。
今でもポピュラーな木製の大きめのサラダボールに冷やしたスパゲッテイをたっぷり入れてその上に刻んだキャベツやレタス、シーチキン(もあったと思う)などを載せたものです。
そして別添えのソースをかけてサラダボールからフォークで食べるのです。
このソースというのが和風でして、醤油と油をベースにして生姜をたっぷり入れたものです。
これをかけて食べるスパサラは本当に信じられないほどの旨さでした。
ソースとのマッチングが素晴らしく誰でも夢中になる味だったと思います。男女問わずこのお店で食事をする人の多くが頼んでいました。
野菜もたっぷりですし、全体の量もかなりあるので1食として腹に溜まるほどのボリュームでした。
確かコーヒーが付いて800円くらいだったと思います。
実はこの味を再現したくて、現在に至るまでたまに家で和風ソースにトライするのですが全然あの当時の味に近づいてくれません。
スパゲッテイの類で一番おいしかったものは?と聞かれたら迷わず私はサーラ・デ・カフェのスパサラと言いますね。
これからの人生でもあれを超えるスパゲッテイを食べる事が出来るのかどうか・・・?
サーラ・デ・カフェは途中からダブへ変わる・・・
私がこのお店に通ったのはたった3年間でしたが途中で店名が変わりました。
でも内装やメニューは変わっておらず変わったのは値段だけでした。
(つまり値上げ)
お店の名前は【ダブ】になりました。
意味や変更理由は分かりませんが、経営上の問題から値上げをしたいということだったのでしょう。
もちろんダブになってからも通い続けました。
ともあれよく通ったのでお店の人にも良くして頂きました。
ウエイトレスで一番長くやっていた当時20代後半と思われる髪の毛チリチリのお姉さん、お元気ですか?
口調はきつかったけどお世話になりましたね。あ、でも誤解しないで下さいね。私は恋愛感情持っていませんでしたから。他に彼女もいなかったんですが。
このお店は青春時代の一番の喫茶店でした。
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