札幌~旭川間の思い出の特急
北海道最大級の大動脈・札幌~旭川間の特急
札幌~旭川間、136.8kmは道内でも最重要幹線の一つです。
近年北海道の鉄道の赤字や乗客の少なさばかり報道されていますが、札幌通勤圏の他、札幌~新千歳空港、帯広、釧路、函館、小樽、旭川などの快速や特急の乗車率はかなり高く、区間ごとに途中通過駅や1両のローカル列車の運用経費を除けばギリギリ黒字なのでは?と思うほどです。
北海道の鉄道はこれら主要区間は平日も含めて満席のことも多く、また冬に乗車率が高くなるという特徴があります。
普段マイカーしか使わない人も冬になると鉄道に乗るからなのですが、理由は単純に冬の運転が危険、恐いからです。
JRはこのような↓線路状況、時に吹雪いても速度やダイヤは夏と同じなのです。
さらに札幌~旭川間は1年中ビジネス客、観光客で混んでいます。
現在この区間は一部の時間帯を除きほぼ終日30分間隔で特急が走っています。
初めて乗った【L特急 いしかり】
私が初めて北海道に行ったのは1976年(昭和51年)の8月でした。
その時にこの区間を走っていた特急は、
L特急 いしかり
でした。
何度も乗りましたし、乗る前から色々調べていたのです。
初めての北海道ということで嬉しくて仕方なく、鉄道ファンでもある私は事前調査をかなりやり以下を知りました。
・運転開始は1975年(昭和50年)7月18日から
・車両は本州で定番の485系交直両用電車を北海道向けに耐寒耐雪構造を施した1500番台。
・札幌/旭川両駅を毎時0分発車で当初は1日7往復。
・途中停車駅は岩見沢・滝川・深川の3駅で所要時間は1時間43分。1往復は全区間ノンストップで1時間36分で走破。
・当該車両の最高運転速度は120km/hだが、当時の道内の最高運転速度に合わせて100km/hで運転。
・表定速度(途中停車時間を含めた平均速度)は3駅停車で79.7km/h、ノンストップで85.5km/h。
↓このようなまさに【日本国有鉄道】の特急列車でした。
画像引用元: おじさんの手帳 様
http://suzuran6.blog.so-net.ne.jp/
北海道に行く前に鉄道オタクの友人が「いしかりに乗るならばぜひノンストップに乗れ!」と言ってくれて私もそのつもりだったのですが、時刻がスケジュールに合わず断念し、3駅停車の「いしかり」に乗りました。
その後も何度も乗っていますが結局ノンストップは乗らず仕舞いでした。
この車両はいくら冬季の北海道の対策をしたと言っても元々は本州向けに設計されているので、思いもよらない場所からの粉雪の侵入などトラブルが相次ぎ、1時間ヘッド運転から2時間ヘッドに変更して整備時間を長くとったりしましたが、根本的解決にならず1980年6月までに引退したのです。
そして1979年に北海道のみで使用する新型車両781系に置き換わり冬季のトラブルは激減して安定運用が出来るようになりました。
485系の走りは電動車に乗るとモーター音がうるさく、やや硬めの乗り心地で低速から高速までまんべんなく、ただし徐々に加速していくという感じでしたが、781系は非常にどっしりとした安定感で揺れが少なく乗り心地もだいぶ良くなりました。
そして781系は車内が静かでした。
耐寒耐雪構造が防音にも効いてるのでしょうし、全体的に非常に余裕のある設計だったのかもしれません。
でも特に485系より加速が良くなったという感じはしませんでした。まあ少しは良くなっているのかもしれませんが。
↓781系の「いしかり」。 ヘッドマークに絵が入るようになったのは1978年から順次でした。
画像引用元: 懐かしの日本国有鉄道 様
http://www.jnr-photo.com/
L特急 ライラック/ホワイトアローの時代
781系が投入されて1980年には「いしかり」の名前が消えて「ライラック」に変更、1986年には「ホワイトアロー」が誕生します。
「ホワイトアロー」は千歳空港駅(現、南千歳)~札幌~旭川で運転されて、一部は札幌~苫小牧間のみ運転というまるで回送の客扱いみたいな列車もありました。
そして1987年のJR発足から北海道内の最高運転速度も120km/hとなります。
画像引用元: J鉄局のブログ 様
http://js3vxw.cocolog-nifty.com/
↓1988年12月29日に撮影した「781系 ホワイトアロー 札幌発 苫小牧行き」の車窓ビデオです。
もし見れない方はこちらからご覧ください。
途中停車駅は千歳空港駅(現、南千歳駅)のみで、全区間48分という短さですが何と車販のワゴンまで来ます!
スーパーホワイトアロー/スーパーカムイの時代へ
その後1990年には全JRグループで初めての量産型VVVFインバーター車両である785系が投入されて、札幌~旭川を所要時間1時間20分、表定速度は何と102.6km/hという高速で結びます。
この列車の名称はスーパーホワイトアローです。
最高運転速度130km/h、軽量ステンレス構造、VVVF&交流回生ブレーキの採用など今でも色褪せない性能を持っており、全速域で優れた加速、ワンハンドルマスコンをブレーキ位置に入れた瞬間に作動する極めて応答性の良いブレーキなど本当に素晴らしい高性能車両です。
(余談 JR後の北海道の車両は駅間距離が長いせいもあり、通勤型でもトルクを高速域に振っていますので、起動時の出足は首都圏の通勤車両の加速に負けますが、80km/hを超える高速域ではJR北海道の車両の加速の方が断然速いと思います。
ついでの【鉄オタ話】で恐縮ですが電車の加速度で3.0km/h/sと書いてあると起動時から最高速度、例えば100km/hまでその加速だと思っている人が非常に多いのですが、これは間違いです。
起動時の加速度なので通勤型であればせいぜい40~50km/hくらいまでしかこの加速度は続かずその後はガタ落ちの加速度になります。)
↓2010年11月13日 旭川駅で撮影した785系(後のスーパーカムイ)
このデザインは今でも未来的でちっとも色褪せていません。
現在順次廃車や789系への置き換えが始まっていますがもったいないほどの高性能車両です。
でも車内設備は四半世紀過ぎていますので、さすがにくたびれている感じはします・・・。
785系も「これでもか!」というほど乗った車両です。
現時点で札幌~旭川間では一番多く乗ったと思います。
以下は1991年1月1日に撮影した「785系スーパーホワイトアロー 旭川→札幌」までのビデオです。
1時間20分を18分50秒にまとめてあります。また今となっては懐かしい車両もたくさん写っています。
もし見れない方はこちらからご覧ください。
青函トンネルを通過する「スーパー白鳥」用として使われた789系が北海道新幹線開通に伴い、函館本線でスーパーカムイ(後のカムイ)に使われるようになるなど大動脈に相応しい新車・新系列の車両の投入が続いています。
↓789系のスーパーカムイ(現、カムイ)
2012年11月札幌駅にて
↑2枚目は札幌~新千歳空港間が「快速エアポート」になることを表示。
その後JR北海道のトラブル、事故などで最高速度も130km/hから120km/hに下げられてしまい。これらの車両は高性能を持て余しているほどですが、近い将来整備面などが安定してきたらぜひ元の130km/h、若しくは789系では以前は当たり前だった140km/h以上に引き上げてほしいと思います。
北海道は(全国的にですが)殆ど必要のない過疎地域まで高速道路を今でもドンドン作っているのが現状で、それらを都市間バスが走り鉄道はますます厳しくなります。
道路は赤字垂れ流しでもJRのような民間企業の経営の厳しさとは異なり財源がどんどんつぎ込まれているようです。
JR北海道は株主が国で、補助金も多く出ていますが基本は自主経営となりますので道路とは金の出所が違うんですね。
やはり鉄道は安全が一番にあって、その次に速度だと思うのです。
速度の回復もしないと交通機関としての魅力に欠けてしまいます。
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