思い出の写真フィルムたち
写真フィルム
今やカメラはデジタル全盛となり(スマホ含め)、フィルムを使用したカメラや撮影行為は風前の灯となっています。
しかしアナログレコード愛好家やショップが増えつつあるように、細々とは言えまだまだ愛される存在です。
他に似たような存在としては、「車のMT」、「カセットテープ」などがありますね。
車はそう遠くない将来、好むと好まざる関係なく内燃機関の車は激減もしくは無くなることでしょう。
環境問題、原油問題などのほかに電気自動車は航続距離以外にデメリットがほぼ無いのです。
恐らく近い将来には電池(太陽電池なども)の性能が飛躍的に向上し、航続距離の問題もほぼなくなると思います。
性能面でも内燃機関に劣る部分は今でもありません。
(詳細を知りたい方は別途調べて下さいね。)
さて写真はフィルム技術の進歩と共に発達してきました。
今はデジタルカメラ(以下デジカメ、一眼レフ含む)に取って代わられつつありますが、フィルム時代に培った数え切れないほどのノウハウが今のデジカメには生かされています。
だから電子技術の発達だけで今のデジカメがあるわけではないのです。
私は趣味の写真はフィルムからスタートし、今はフィルムを買うことはなくなりましたが、フィルムで育ったので特別な思い入れが今でもあります。
フィルム写真のドキドキ感
今カメラ(スマホ含む)を日常的に使っている人の多くはフィルムを知らない世代が圧倒的だと思います。
もちろん時代、歴史の問題なので悪いことでも何でもありません。
でもフィルムを知らない若い世代が普段はスマホを使いつつ、休日や旅先にはいつもフィルムカメラしか持って行かないという人も増えています。
単なるノスタルジーではなく、彼らはフィルム写真に魅了されたからなのです。
フィルムで育った私には嬉しい限りです。(でもそういう私が今はフィルム使わなくなっちゃったんですが・・・)
私はデジカメの最新機種を使ってその画質や操作性に感激しても、どうしてもデジカメにはフィルムカメラで毎回体験した「ドキドキ感」が感じられないのです。
これは極めて安価なローエンドのフィルムカメラであっても毎回ドキドキ感はありました。
これを聞くと、「フィルムを現像してどんな写真が撮れていたかにドキドキするのでは?」と多くの方は思われるでしょうが、それだけではありません。
もちろん現像(プリント)後の写真を初めて見る瞬間のときめきはありましたが、そんなの私にとっては1割くらいです。
それよりも「いかにこの1枚を確実に撮るか?」の部分にドキドキがあったのです。
つまりフィルムカメラは24枚、36枚しか撮れないフィルムで無駄が出ないように、そしてデジタルのような後加工が出来ない(出来るがデジタル全盛時代の前は設備面などで容易ではなかった)という1発勝負だったので、1枚に込める気持ちの思い入れが非常に大きかったのです。
ましてやこれがブローニフィルムであれば1本のフィルムで10枚くらい(画面サイズによる)しか撮れないし、シートフィルムであれば1枚撮りフィルムなので絶対に失敗出来ません。
シートフィルムは使ったことのある方はお分かりでしょうが、ネガでも1枚(20年位前の4×5で)300~400円くらいしましたし(しかも10枚パックとか)、現像代が1枚500円超とかしたので(プリント代別)、失敗すればそれだけで800~900円を捨てることになってしまいます。
プリントするにしても4×5サイズだと原版(ネガ/ポジ)の大きさが既にLプリントサイズを越えているので最小プリントサイズは2Lからとなります。
だからフィルムは失敗できないという緊張感がありました。
もっとも多くの人はそんなこと考えずに適当にシャッターを押していたわけですし、その「気楽に」の延長線上に「写ルンです」が生まれたと思います。
でも趣味となると思い入れが強くなるのでどうしても緊張し、ドキドキ感が強くなるのです。
私が使ったフィルムたち
私は単なるアマチュアですし、新し物好きだったりするのでフィルムの銘柄もあちこち手を出しまくっていました。
そんな私が使ったフィルムのごく一部をご紹介します。
●フジカラーシリーズ(富士フイルム):ネガ
古くはASA100の定番ネガ「フジカラー」から始まり、ISO400 のネガも安定した画質でよほど引き伸ばししなければ案心して使える画質でした。
100や400の感度だと5本パック、10本パックも比較的安く売られていましたね。
後期に出たISO800も思ったより粒状性は悪くなく、六つ切りくらいまでのプリントならば使えました。
(プリントの拡大率に対する画質評価は、写真の被写体及び個人の感じ方によります。)
(フィルムの感度は今はISOですが、昔はASAで現していました。数値的には等価です。)
画像引用元: ヨドバシ・ドット・コム 様
https://www.yodobashi.com/
●リアラ/リアラエース(富士フイルム):ネガ
ネガの「ファミリー向け プレミアムフィルム」とでも言えばよいのでしょうか?
第4の感色層を持ったちょっと特殊な構造のフィルムです。
ネガで気楽に家族や風景の撮影を楽しみたい、しかしより綺麗にを実現したフィルムです。
初めて使ったときはその彩度の高さに衝撃を受け、とても派手な万人受けする画質でした。
人物を撮っても肌も滑らかで綺麗に写ります。
ただ悪く言えば色がどぎつ過ぎる、わざとらしい色、という評価も多く、好き嫌いの別れるフィルムでもありました。
私の主な被写体は風景、街並みなどなので彩度が高く派手目の方が合っていると(勝手に)思って好んで使っていました。
中版カメラを導入した時も、ネガでの撮影ではリアラ/リアラエースをよく使いました。
このフィルム感度は100だけですが、程よい低感度(?)なので粒状性もよく、暗くなければまずまずのシャッタースピードも切れますので使いやすいフイルムでもあります。
ただこれに惚れた私も1つ難癖付ければ赤の飽和が早くかつ強烈なのです。
彩度が高いからだけの問題ではないのかもしれませんが、例えば赤いチューリップを撮影すると花びら1枚1枚の輪郭が判らなくなるほど赤が飽和します。
赤い花に関しては使い物にならないと感じました。でもプロはちゃんと撮れていたので単に私のテク不足なんでしょうね。
画像引用元: Wikipedia
●コダカラー ゴールドシリーズ(コダック):ネガ
面白いことにパッケージのコーポレートカラーとフィルムで再現される色の傾向は似ているんですね。
それを意識してメーカーはコーポレートカラーを決めているのでしょうか?
富士は緑と赤を鮮やかに再現、コダックは落ち着いた雰囲気ですがややイエロー系に回った色調というイメージです。
私が使うメーカーは圧倒的に富士が多くてコダックはたまに、だったのですがたまに使うと味わい深い色に酔いしれることもよくありました。
ゴールドシリーズはプロ/マニア志向が強いコダック製品の中では完全に一般、ファミリーを意識した商品だと思います。
従来のイエロー系の発色を残しつつ彩度の高い鮮やかな色です。でも富士とは異なり赤や緑は抑えられていました。
画像引用元: ヨドバシ・ドット・コム 様
https://www.yodobashi.com/
●アグファゲバルト:ネガ
ドイツのアグファゲバルト社のフィルムです。
同社は知っていましたが使ったことは無かったのですが、近所のダイエーで見慣れぬダイエーブランドのフィルムを凄く安く売っていて興味惹かれるままに買ったのが使うきっかけでした。
色調はコダカラーの彩度をやや落として、さらに暖色系に振って少々シアンを混ぜたような感じで、シャープネスはそんなによくありません。
でも凄く味のある色調なんです。風景とかだとちょっと嘘くさい、或いは現像でちょっと失敗したの?と思う感じがしないでもありませんが、でも不思議な色合いに引かれて一時期5~10本パックを買って使いまくっていました。
実は私の結婚式の写真撮影を駆って出てくれた友人に、このフィルムを多量に渡して、「これで撮ってくれ。あまったら使っていいから」とお願いしたのでした。
↓これはダイエーブランドではありませんが同等品です。
ダイエーブランドの写真が見つかりませんし、家にもパッケージは残っていません。
画像引用元: ヨドバシ・ドット・コム 様
https://www.yodobashi.com/
●ベルビア(富士フイルム):ポジ
リアラのポジ版とも言える彩度を再現するのがベルビアです。(私が勝手に思ったことです。)
強烈な彩度、優れた粒状性、高いシャープネスなどフィルムの理想系(?)とも言える超高画質フィルムです。
これを初めて使った時の衝撃は忘れられません。
輪郭が充分に再現できる限界まで上げたのでは?と思われるほどの強烈な彩度。
大伸ばしでも荒さを全く感じないほどの粒状性、優れたラチチュードなど素晴らしいものです。
あえて難を言えばISO50しかないのでシャッター速度には制約があります。しかも実行感度はISO32と言われていました。
ISO50しかベルビアには設定しなかった同社の心意気、とでもいうのでしょうか?
(その後ISO100版、彩度を落として落ち着いた色のプロビアシリーズも発売されました。)
ひたすら画質優先の姿勢は感動すら覚えました。
このフィルムはプロも好んで使っていました。
風景家はもちろんスタジオでの人物撮影など見る人にインパクトを与えるには充分すぎるほどの超高性能だったのです。
ポジなので現像後のフィルムをそのまま鑑賞するわけですが、あの小さな1コマでも大いに感激しました。
この感激、ドキドキ感は今のデジタル時代では全く味わえないほどの強烈なドキドキでした。
↓上が発売当初、下が後期のパッケージ
画像引用元: ヨドバシ・ドット・コム 様
https://www.yodobashi.com/
この他にも多くのフィルムを使いました。コニカも森羅万象とか使いましたね。
数少ないですが白黒もネオパン、TMAX、イルフォードなども使ったのです。
でも今家に残るのはスキャンを途中までやって放置されている大量のネガとポジたちです。
そして私が使った(買った)カメラのフォーマットは35mm(今のデジタル時代はわざわざフルサイズなんていいますね)、645、6×7、6×8、4×5でした。
風景派の私としては本当は5×7や8×10も買いたかったのですが、流石に値段が・・・ということと「買いたいな・・・」と思いながらカタログを眺めていたら世はデジタル全盛になってしまったのです。
過去に単発で8×10のデジタルバックもあったそうで、20数年前で1億画素とか言っていました。
将来そんな製品が出て金が余っていたら使ってみたいもんです。
フィルムとデジタル時代について思うこと
フィルムはまだしばらく残るようですが、本記事冒頭で述べた「車のMT」や「アナログレコード/カセットテープ」のようなわけには行かない気がします。
理由は、「メーカーが商品を提供すれば終わり」で済まないからです。
もちろんアナログレコード/カセットテープ、或いはVHSだってそのメディアを再生出来る機械がなければなりません。
でもこれらの再生機はある程度の要望や需要があれば細々とでも供給は可能と思われます。
実際、日本の隙間商品などを作っている会社が中国の会社に委託生産して販売しているものはたくさんあります。
しかしフィルムは現像とプリントという厄介な後作業がありますね。
複数の薬液、暗室、引伸ばし機(スキャナー&PCでも出来るが)、印画紙など撮影後に必要なものが多すぎるからです。
だからフィルムは他のメディアなどと異なり衰退ではなくて消滅は避けられないと思います。残念ですが。
さて私が独断で考えるフィルムとデジタルについて考えることを少々述べてみます。
あくまでも私の「独断」だと言うことをご承知おき下さい。
●フィルムとデジカメの感度
どっちも撮影前の段階で設定する基本的な項目ですが、フィルムからデジタル全盛に変わって、撮影者の感度に関する考えも大きく変わって来た感じがします。
まず今昔問わず「高感度が必要な撮影」は「暗所でフラッシュを使わない場合」、「夜景撮影」、「スローシンクロ」、「晴天下でも暗部の再現を中心にしたい場合」、「天体撮影」、「子供や動物、乗り物など動きが早い被写体」、「乗り物の流し撮り」、「使用するレンズが暗い場合の手持ち撮影」などではと思われます。
逆に言うと明るい場所での撮影、昼間の風景は高感度は不要で、むしろ低感度で撮影した方がより高精細/自然な発色/広いダイナミックレンジを生かせることになります。
だからフィルム全盛時代は上記のような高感度撮影が必要な場合以外、風景や街角スナップなどが中心の撮影ではなるべく低感度のフィルムを選んだのです。
雑誌などでも可能な限り低感度のフィルムで撮影する記事を載せたりもしていましたし、メーカー側も富士フイルムの最高レベル画質のフィルムであるベルビアもISO50、コダックもコダクロームのISO64、更にはコダックのネガでISO25なんていうものを出していました。
スタンダードはISO100、その後ISO400が市場のスタンダードになりましたが400を日常的に買う人はファミリー層で、マニアでない人たちが中心であり、プロやマニアと呼ばれる人たちは必要が無ければ400(それ以上)の感度のフィルムはあまり買わなかったのです。
撮影時のISO感度はフィルムもデジタルも変わらないのですが、デジタル全盛になってからマニアと言われる人たちの大半は「とにかく高感度」を重視する人が増えてきたのです。
理由は人それぞれで、夜景や薄暗い場所の撮影、そして高感度でも画質が良ければ普段から高感度設定にしておけば晴天下でも夜でも安心して撮影出来ると言う人も多くいます。
フィルムで育ってきた私にも理解できます。
デジカメの素晴らしさは1枚ごとにISO感度を変えられることです。これで撮影の自由度が大きく広がります。
私も薄暗い場所で手持ち撮影、かつノーフラッシュが必要な場合はISO3200くらいまで使ったことがありますし、1600までならば普段も使います。でも暗所でも可能な限り低感度の設定にはしますけど。
もちろん私のメイン被写体である風景は可能な限り低感度にします。
でもカメラの拡張ISO感度は使いません。これは通常は最低で100までの感度を拡張設定すると例えばISO50まで下げられると言うものです。
しかし拡張感度設定をすると機種に無関係にダイナミックレンジが圧縮されてしまうのです。
だからレンズや被写体の制限などで必要な場合以外は使いません。
(この理由は電子回路の増幅器の利得対ダイナミックレンジがボルテージフォロワーよりも+3~6dB程度のアンプの方が優れているのとほぼ同じ理由です。詳細は専門的過ぎるので割愛しますね。)
高感度を推す人の中には上述の夜景や暗所撮影以外に風景や人物専門の人もいます。
これらの人の9割はアマチュアと言ってよいです。
彼らの使い方で驚いた一例を紹介すると、「ISO3200で感度は固定。晴れの日の風景撮影時は終日NDフィルターつけっぱなし」という人がいました。
これでは何のための高感度設定なのか理解できません。
こういう人に限ってハイエンドの一眼レフとか持っているのですが、恐らくですが初めて使ったカメラがデジカメなのではないでしょうか?
人間もカメラも世代がどんどん新しくなっていくので、良し悪しの問題ではありませんが、写真撮影の基本・本質はフィルムもデジタルも不変ですので、相当勘違いしてカメラを使っていると思います。
趣味だから本人がよければ良いのですがプロの方も、「夜景や流し撮りなど特定の目的が無い限りは可能な限り低感度で撮影するしそれが本来であると思う」と仰る方もいます。
しかしカメラメーカは売れなければ話しになりませんので、「高感度重視」と要望が増えれば当然そのような商品を重視して作り販売します。
これによって技術が進歩するのも事実です。
でもフィルム全盛時代の高画質フィルムというのは低感度がメインであったわけで、これは単に「当時の技術では高感度高画質が作れなかった」という側面もあるとは思いますが、低感度の方が色調やダイナミックレンジが良くなるという基本に基づいていたと思うんです。
自論ですが元技術者の端くれとして思うのは、「技術は基本を越えられない。越えるには新しい原理や法則を発見する必要がある。」と勝手に思っているんです。
まあアマチュアは趣味ですから人それぞれが楽しめば良いんですが。
●デジタルとフィルムの画質差
これも一時期はよく論じられていましたがいつの間にか消えた話題になってしまいました。
論じられていた時は良し悪しについてが多かったかもしれませんが、私の記憶の範囲で印象的だった話題は以下の2点でした。
1.フィルムの方が柔らかくて自然な感じがするが、デジタルのほうはカチッとしたシャープネスが効いた写真になる。
私もこれに付いては「何故だろう?気持ちの問題かな?いやそういうことも無いと思う」と疑問に思っていましたが、あるプロ写真家の記事で「なるほど!」と納得する話しを知りました。
フィルムの柔らかい感じ: フィルムは銀などの粒子によって画像が再現され、この粒子は不規則に(但し単位面積当たりでは極力均一に)フィルム上に塗布されているので階調が自然な感じになるので写真は柔らかく誇張の少ない自然な仕上がりになる。
デジタルのカチッとした感じ: デジタルはイメージセンサーが受光することによって電気信号に変えられて画像を作り出す。イメージセンサーはCMOSでもCCDでも基本は半導体デバイスなので数千万画素であろうが正方に規則正しい間隔で並べられた受光センサーが光電変換を行っている。
この受光センサーがフィルムの銀粒子に相当するが、規則正しく並べられていて、受光センサー間に到達した光は無視されるので、いやおう無しにシャープネスの効いたカチッとした写真に仕上がる。
またセンサー後の信号も全てデジタル処理され、JPEGで出力する場合はRGB各色が8bit(256階調)の合計24bitになるので規格化された信号処理となるのもフィルムよりもシャープネスが効いた感じとなる要因とも言われている。
これら↑から「なるほど!」と思いましたね。
2.デジタルは相反則不軌がない、の真意
相反則不軌(そうはんそくふき)をご存知ですか?
露出制御がプログラムAEであれ、絞り優先AEであれ、絞りとシャッター速度を同期して変えて行けばフィルムの感度は変わらず、つまり露光量は変わらず再現される色も変わらないはずですが、一定以下または極端に早いシャッター速度になるとフィルムの実行感度が低下して露光はアンダーとなり再現される色も変わってくるという現象のことです。
フィルム時代は極端なスローシャッターを使うと(バルブ撮影など)、色がおかしいということがありました。
一部のフィルムの説明書には相反則不軌が起こるシャッター速度が記載されていました。
この場合のシャッター速度は製品によってかなり異なりますが、一般には低速側は数十秒~数分、高速側は1万~数万分の1秒で起きます。
後者の高速度はメカニカルシャッターでは実現出来ませんので理論上であって問題にはならなかったのです。
相反則不軌が起きるのはフィルムの乳剤の化学的現象が原因で、保障された感度と色再現を行うには露光時間がある一定の範囲内である必要があるのです。
化学物質ですから「光が長く当たりすぎてはいけない。」、「光の量が少なすぎてはいけない。」という化学反応が適切に行われる時間の幅があります。
フィルムに対してデジタルではこのような化学反応に頼っていませんので相反則不軌は起きない、という話しに結びつきます。
しかしこれは間違いなのです。
デジタルでは基本的にスローシャッターでは相反則不軌は起きません。
しかし超高速シャッターでは相反則不軌が起きます。
なぜかと言うとシャッター速度が早い=受光センサーに当たる光の時間が短い、ということですから、極端にシャッターが早いと受光センサーの動作が追いつかなくなるのです。
全く光を受けなくなるわけではありませんが、センサーのばらつきなどで一部のセンサーでは殆ど受光出来なかった、極端に少ない光しか受けられなかったと言うことになります。
全てアナログ信号処理ならばいざ知らず、デジタル処理ですからまずセンサー直後のアンプやロジックの部分でスレッショールドレベル以下の信号は切り捨てられます。
そして信号処理エンジンでは不足した信号を再現しようと補間処理を行うのです。
このような処理が積み重なると最終的に写真は再現出来ても色がおかしくなることがあります。
欠落した情報をデジタルの補間技術で無理やり再現しているからです。
しかしデジタルでは実際に相反則不軌を気にする必要は殆どありません。
まず現在実用化されているメカニカルシャッターの1/8000秒くらいでは相反則不軌は起きないのです。
でも一部のカメラではメカニカルシャッターをはるかに越える電子シャッターで数万分の1秒を実現している機種があります。
このような速度だと相反則不軌が問題になることがあるようですが、極端なカラーバランスの崩れでも無い限り撮影後にPCで補正も出来ますので問題にはならない、という扱いなのだと思います。
以上ですが、今後フィルムはますます希少なものとなるでしょうが、デジタルシステムもフィルム時代のようなドキドキ感を味わえる商品を出してもらいたいと切に願います。
おまけですが、私がフィルムにドキドキした理由は前述の他に、カメラのフィルム巻上げレバーを操作する快感というのもありましたね。
一瞬の作業ですが「写真を撮っているんだなぁ・・・」と実感出来る時間でした。
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