北海道・音威子府駅の駅そば
最果ての駅・音威子府の駅そば
北海道・宗谷本線の音威子府(おといねっぷ)駅には名物の駅そばがありました。
駅の場所はこちらです。
北海道もここまで来ると「最果ての駅」、「北の彼方」と感じます。
しかし最北の都市、稚内まではまだ90kmもあるのです。
さらに札幌まで200km、東京だと1030kmと本当に「果ての町」です。
(いずれも直線距離で)
でも駅はこんなに素敵な駅舎・改札口です↓
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↑2021年9月15日撮影↑
↑2012年8月10日撮影↑
音威子府は人口850人、北海道で一番小さな村ですが林業、木工家具、そして蕎麦の栽培が盛んな元気な村なのです。
(住所表記は”北海道中川郡音威子府村”となります。)
そんな小さな村の駅にある立食いそば屋の「常盤軒」はファンも多く、全国からわざわざ食べに来る人も多くいたのです。
↓この木で出来たSLの置物は音威子府駅の象徴の一つ、と言えるほど有名ですね。
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2012年8月10日撮影
音威子府駅全景(2021/9/15) 方角は北、つまり稚内方向。
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音威子府の常盤軒はどんなお店?
常盤軒は以前は天北線(1989年5月廃止)も発着していた2、3番ホームの屋根を抜けた稚内寄りにありました。
つまり改札側から跨線橋を渡った隣のホームの、しかも端の方でした。
この駅の現駅舎は1990年に建替えられたものですが、その際に駅舎内(改札外)にお店は移転しました。
ホーム屋根からは外れた場所でしたが、ちょっとした小さな小屋のような感じの味わいのある建物でした。
直接ホームにあったお店を写したことはなくて、ネットでもごく少数しかホームのお店の写真はありません。
またネット上にあっても著作権保護されていて「無断使用禁ず」や「これは販売用写真」などばかりでした。
そんな中、音威子府駅構内にある「天北線資料室」で私が写した写真の中に、偶然にホーム時代の常盤軒が写り込んでいましたのでトリミングしてご紹介します。
資料室での写真撮影は2008年8月27日で、1989年4月30日の天北線営業最終日で賑わう音威子府駅のものです。
店舗のごく一部しか映っていませんが、写真左端の小さな三角屋根の建物が常盤軒でした。左手が稚内方面です。
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また以下は1977年(昭和52年)9月28日に高度2550mから撮影した音威子府駅ホームの様子です。
(本写真のみ他サイト様からの引用となります。)
赤のラインが引いてある小さな長方形の建物が常盤軒です。
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画像引用元:国土地理院 地図・空中写真閲覧サービス様
https://mapps.gsi.go.jp/maplibSearch.do#1
そしてホームの常盤軒が無くなってからの状況が写っているのが以下の写真です。
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この写真↑は2012年8月10日に撮影したもので、赤の矢印で示した草が生えている部分に常盤軒がありました。
当時駅舎側にお店が無かったのは旧駅舎が狭かったとか、ホーム上を確保出来なかったとかの理由でしょうか?
店内はホーム上の小さな待合室という感じで、立食いのカウンターしかなく(もしかしたら若干席はあったかも?)、「NHKで紹介されました」というかなり古い新聞記事が飾ってありました。
特に冬の寒い日にこのホームにあった常盤軒さんで食べるそばは最高に美味く、全身もポカポカに暖まりました。
1990年に駅舎内に移転してからのお店↓の様子。(2012年8月10日)
いつも賑わっていて、列車の利用客が50人しかいない日にそばが200食以上も出た日もあったそうです。鉄道利用以外の方の来店がすごく多かったのですね。
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音威子府駅の駅そばはどんなもの?
初めて食べる、または通常の灰色のそばしか食べた事のない人はびっくりかもしれません。
何と真っ黒なそばなのです!
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これは私が同駅を2012年8月10日に訪問した際に食べたものです。
黒いのはそばの皮(殻?)も一緒に挽いているのでこの色になるとか。
見た目はイカ墨?なんて勘違いしますが、味はとてもそばの風味が強く、クセになります。
歯ごたえもしっかりしていて食べがいがあります。
汁は万人向けと言えますが、北海道のそばに多いやや甘めのものです。
昔からこのそば、味は変わらないので懐かしく、また音威子府駅構内(出来ればホームで)で食べたいとしみじみと思います。
閉店した常盤軒・・・
音威子府は先述したように私の住む札幌からもとても遠く、車でも列車でも優に5~6時間超はかかります。
しかも冬は道中があまりにも過酷(ツルツル凍結路面、猛吹雪のホワイトアウトで視界ゼロとなる)などマイカーでも行く気にさえなれません。
高速道路も札幌から音威子府までの間、7~8割くらいの区間しかありません。
そんな中2021年9月15日にまた訪問する機会がありました。
音威子府だけが目的では無かったので車で行ったのですが、駅の写真撮影の前に早速常盤軒のそばを・・・と思ったのですが、お店はシャッターが閉まっていました。
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今日は売り切れか?臨時休業か?と思ったのですが、お店のカウンターにある説明文によると・・・
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・・・ああ、何という事でしょう・・
あのおじさんが逝去されたとは・・・
この説明書きの前で立ち尽くしてしまいました。店主とは知り合いでもなんでも無かったのですが、お年を召してもとても元気に頑張っておられたというのに・・・
お店は2020年2月より新型コロナウィルスの影響で臨時休業をしていたとか。
この年の2月と言うのはちょうど新型コロナウィルスが流行りだしたころで、世間は未知のウィルスにややパニックになっていた時ですね。
そしてこの閉店したお店の左手には常盤軒現役時代の写真が飾られていました。
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大変な長きに渡り、数多くの人に美味しいそばを提供し、かつ旅の思い出の一つになってくれた常盤軒、そして店主の西野守さんに感謝申し上げるとともに、心よりご冥福をお祈り申し上げます。
本当にありがとうございました。
音威子府そばは、もう食べられないの?
実は常盤軒が営業していた時から村内には音威子府そばを食べれる店が数件あるようです。
しかし駅で列車待ちに食べるということが出来ないのは本当に残念です。
調べるとなんと駅すぐ横にある道の駅で音威子府そばが食べれます。ここが駅から一番近いそばのお店だと思います。
駅からも徒歩4分という至近距離です。
以下をご覧頂ければ本当に目と鼻の先、という事がお分かりかと思います。
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Google mapから切り出して加筆
道の駅 おといねっぷ 外観
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この日(2012/9/15)、「ここまで来てそばを食べずに帰れるか!」ということで直ぐに道の駅に向かいました。
その時の時刻は15時少し前、店内に入ると「新型コロナウィルス感染拡大防止のため14時で営業終了します」という非情とも言える文字が・・・。
他にもそばが食べれる店はありますが、何分田舎ですので同様に早々と営業終了している可能性もあり、ここから3時間弱の町まで行かなくてはならない用事があったので今回は断念しました。
道の駅の「生そば あるよ」の文字が恨めしいです。
札幌のスーパーなどでも音威子府そばを売っていますが、やはり現地での立食いをしたいです。
少なくても駅舎、ホームでの立食いは二度と叶わなくなってしまいましたが。
でも本当に素晴らしい味と思い出をありがとうございました!
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音威子府ってば、いろんなそばが喰えて、おもしろいとこだったけど、
畠山製麺さんも操業やめちゃって、主に「幌加内そば」が主流になってしまってるようで…。
両方ともおいしいから、喰べ比べできないのはとっても残念というか…。
常盤亭の西野さんの駅そばもおいしかったけど、うちら(特につるみん)は、
「一路食堂」(閉店)の「かつ丼」と「音威子府ざるそば」の2本立てが好きで、
二つ喰い終わってからが本番?で、「そば湯」をでっかい急須みたいなんで、
3つくらい飲むもんだから、お店で「つゆ」足してくれたとか…。
においが強くて好き嫌いが分かれるけど、「『そば湯』はお代わり自由だから好きなのだ」
と店の迷惑顧みずガブチンガブチンしてました。
・・・「閉店1時間前が濃くっていいのだ」そうですはじめっち
急行だと持ち込まなきゃいけないけど、普通列車だとホームで2杯くらい喰えたっすね。
うちらのころは50系だったけど、客車が2番ホームにつくと、
3~4人くらい降りてきて、ホームそば喰うんですわ。カウンター越しにおばちゃんが3人くらいいて、
(時間が押してるときは)持ち込み容器の人優先だった…けど、時間に余裕はあったのっす。
店舗苦戦がなくなって駅舎も新調されて駅本屋に引っ越すと、
明らかに列車利用のソバ喰いは減ったっすね、それでも10分前後の停車時間で、
食べ終えてく人たちも多くて…ヤケドしねかったのっすかね?
・・・容器¥30だったと思うっすゆたか
あたいはむずかしいことはよくわかんないけども、「くろいそば」も「さけみそパン」もなくなって寂しいのだ。
・・・でかいの2匹は買ってたのだつるみん
東京でもぉ、御嶽(青梅?)や千代田区四谷?で「くろいおそば」喰えてたらしいけどぉ、
製造元がなくてはもうタイムリミットですぅ…。そうなっちゃうと、
喰いに行く人らが(表現悪くて申し訳ないけど)「葬式テツ」みたいに見えてぇ、
あほはあほなりに、静かに見守ろうって、4人で決めたのですぅ…。
・・・御嶽は提供終了したそうですぅ…みならいかのん
4あほ様
こんにちは。コメントありがとうございます。
皆様も音威子府や他の地域でも様々なそばをお食べになっていらっしゃるようですね。
音威子府ってあんなに閑散とした「村」なのに、意外に飲食店があったりします。
というか地元民のためよりも車で通りかかった人のためのお店という感じもしますけど、田舎の食堂はそういうところが多いですよね。
地元の方は外食は殆どしない人が多いと思います(飲み屋除いて)
でも本当に駅そばは全国的に激減しましたね。
旅の楽しみの一つでもあったのに・・・。まあ食べる人が少ない、経営者が高齢になったなどの理由がありますけどね。
黒いそばは風味が強いですが、意外と都心部ではあまり流行らないとも聞いたことがあります。
普通を求める人が多いとかも。でも黒い風味豊かなそば、をウリにすると価格つり上げの理由にもなるからかもしれません。
音威子府の駅構内のそば屋は無くなってしまいましたが、また音威子府でそばを食べたいと思います。