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600万ドルの男

時代を先取りしたアメリカのサイボーグテレビドラマ

 

600万ドルの男“というアメリカのテレビドラマをご存知ですか?

大分前の作品・放映ですので見た事が無い人も多いかと。
でも名前くらいは聞いたことがあるかもしれないし、今でもごくたまにTVでそれらの一場面が使われることがあるので、何となく知っている人もいるとは思います。

私はいい年したおっさんですので、子ども時代にこの作品を現役で見ており、吸い込まれるように毎回夢中になって見ていました。
ウルトラマンシリーズや、アメリカのヒーローであるスーパーマンやスパイダーマンなどとは全く毛色の違う「生身の人間に見えて変身もしないが驚異的に強い」という部分に強く惹かれたのでした。変身しない方が現実に近く感じますよね。

この作品の名称の変革と正式名称、そして日本での放映期間は以下のようなものでした。
正式名称は英文のものとなります。
(以下はWikipediaからの情報と個別に別途調査した内容をまとめたものです。)

●600万ドルの男

正式名称
The Six Million Dollar Man(アメリカで1973年~1978年まで放映。全108話)

日本での名称
サイボーグ大作戦( 1974年7月20日「土曜映画劇場」にて)
サイボーグ危機一髪(1974年7月25日〜12月26日)
600万ドルの男(1975年7月8日〜9月23日)

その後1980年再放送と共に新エピソードも放送
(昔の日本のテレビや映画などは「・・・危機一髪」というタイトルが好まれていた気がします。今だとちょっと滑稽ですが。)

主演リー・メジャース

概説
月に行った事もあるNASAの元宇宙飛行士のリー・メジャース演じるスティーブ・オースティン空軍大佐が、超高速機の滑空テスト中に事故に遭い、左目失明、右腕・両足不随となる重傷を負ったが、NASAの医療スタッフの治療により損傷部位を新たなバイオ技術によって修復し、サイボーグとして生まれ変わった。

彼はその後驚異的な身体能力を生かして、政府の秘密情報機関であるOSI(Office of Scientific Intelligence 科学情報部)のエージェントとして様々な事件に立向っていく。

600万ドルの意味は、サイボーグ化手術に600万ドル(当時の日本円の価値で約18億円)かかった、というのが由来だそうです。これほどの最先端医療を受けて当時を考えても高いのか、たいして高くないのか分からないです。言えることは「安くはない」ということくらいですね。

それに保険適用でない実費ですし。アメリカは昔から今に至るまで国民皆保険制度ではないし、医療費自体が物凄く高い国ですから。

また本作品と双璧を成す、というか本シリーズの一つとして「バイオニック・ジェミー」という600万ドルの男の女性版みたいなドラマがあり、こちらも大ヒットしました。
こちらについては後に別途記事を書く予定なのでお待ち頂ければ、と思います。

【2023年8月18日追記】

バイオニック・ジェミーの記事を追加しました。

600万ドルの男のスペックと活躍

主演のスティーブには以下のスペックが与えられたそうです。

・左目
20倍までの望遠機能、赤外線の波長まで見ることが出来る。マクロレンズ機能もあり。

・右腕
コンクリートも砕くパンチを出せる。

・両足
最高時速60mph(≒96km/h)で走れる。(100mを3秒7で走破)
日本での放送では「時速100km/hで突っ走る!」と言っていた記憶があります。

mphとはmile per hourのことです。1mile=1609mとなります。

アメリカは当時も今も速度や距離はm(メートル)を使わずmi(マイル)を使う習慣があるのでそのせいです。
本来であれば少なくとも今はSI単位系であるmを使うのが世界標準なのですが、アメリカは大国なのにSI単位系も無視して未だにmiやft (フィート)を使っていますね。このせいで航空機で使う単位はmiやftが世界で当たり前に使われていますが。

・心臓
心臓は右腕と両足には血液を送っていないので100km/hで走っても心拍数は平常時と変わらないらしい。

・義手と義足のエネルギー源
原子力電池を使用。

凄すぎるスペックが満載です!

 

1973年(600万ドルの男撮影・放映時頃)の主演のリー・メジャース

画像引用元:ABC Television, Public domain, ウィキメディア・コモンズ経由で

主演のリー・メジャースさんは男から見ても惚れ惚れするほどカッコいい人ですね。
2023年7月現在彼は84歳ですが、お元気のようで引退の記述もなく、2022年にも映画に出演されて、2019~2020年にはサンダーバードARE GO(2015年から開始された作品)に声で出演などまだまだ現役のようです。

ネットをざっと検索する限りは最近のお写真は見当たらないのですが、若い時にカッコ良かった方はお年を召されてもカッコよさはそのまま、という方が多いので、きっと近景もカッコいいままなんだと思います。
これからも頑張ってほしいです。

600万ドルの男の活躍ぶり

様々なエピソードがあるので、彼の活躍はとても書ききれません。
しかし一つ言えることは先述もしましたが、「変身はせずに普段の姿のまま悪に挑み戦う」ということなのです。

子どもから見たら必ずしもカッコ良いものではないかもしれません。
つまりウルトラマンやスーパーマンのような変身がないし、光線を出したりの特殊な武器もないからです。

でもよくよく考えてみると、これほどカッコ良いことってないのではと思います。

 

ちょっと考えてみましょう。
その辺を歩いている、会社にこき使われ家では奥さんに怒鳴られて、クタクタになっていて、頭髪も薄く肌も脂ぎっているおじさんが、裏道で不良に絡まれて助けを求めている女性の元に駆け付け、その不良どもをあっという間にやっつけてしまうんです。
ヨレヨレのスーツを着て、コーヒー染みとかが付いたYシャツとネクタイをしたまま、残り少ない頭髪を靡かせながら宙を舞い、不良に飛び蹴りを浴びせたりするんです。

物凄くカッコ良いスーパーヒーローと言えますよね!

 

見た目に関係なく実は誰でもヒーローになれる!

画像引用元:写真AC   https://www.photo-ac.com/

もっとも劇中のスティーブはあらゆる角度から見ても超絶カッコ良いお兄さんなので、冴えないなんて言葉には無縁ですが、変身せずに普段着のまま、という事からすれば冴えないおじさんがいきなりスーパーヒーローになるのと同じと言っても言い過ぎでは無いと思います。

彼は政府組織のOSIメンバーとして様々な場所で活躍します。
時には狂暴な相手やロボットなどとも戦うのです。しかし悪を倒すだけの一般的ヒーローではなく、多くの人命救助にも貢献します。

バイオニックで出来た右腕の能力を使い、落ちて来る鉄骨を受け止めたり、1tもあるスタジオの天井に吊り下げられた照明を受け止めたりもお手の物です。

とにかく見た目は人間のままですし、非常に人間臭いドラマなので敵を徹底的にやっつける、という内容ではありません。
ほどほどに危険を回避するレベルなのですが、見た目が人間だけにその能力の凄さに圧倒されます。

日本語で「時速100km/hで突っ走る!」という場面があったのですが、その時のスティーブは早回しビデオみたいに物凄い勢いで目の前を通り抜けていきました。

しかし彼が走ったり、飛び上がったり(跳躍能力も物凄い)、戦う場面の殆どはスローモーションとなり、毎回「ビビビビ・・」という効果音が流れます。

そして相手が吹っ飛んだり、或いはスティーブが逆に投げ飛ばされたりすると、スローモーションのまま音が「ドドドドド・・・」に変わります。

スティーブが高くジャンプする場面での効果音は「グィーン」とか「グワーン」とかの音でした。

これらのスローモーション場面と効果音はまさにこのドラマの象徴の一つでもありました。

今思うとちょっと滑稽ですが、でもこの効果音とスローモーションが何故か合うんですね。

このドラマの様々な場面が今でも頭をよぎりますが、確か「Death probe」とかの名前の殺人ロボット?が出て来るのはちょっと気持ち悪かったです。

円錐型で歩みはゆっくりなのですが気味の悪い作動音を出しながらドリルのような両手?が付いたものを前に突き出しながら迫って来ます。私的には宇宙人や怪物、霊とかよりも機械が襲って来るものに恐怖を感じますね。他にもそういう作品はあったと思いますが。

 

Death probe の抜粋動画↓↓  リンク切れはご容赦を。他にも似たような物はあるようです。

引用元: YouTube   el hombre nuclear latino より

 

もう一人の主役・ゴールドマン部長

OSIの部長であり、常にスティーブをサポートする仕事仲間でもあり、良き友人であるオスカー・ゴールドマン部長がいました。

彼ももう一人の主役と言って良い存在でした。

ゴールドマン部長を演じていたのはリチャード・アンダーソンという俳優で、部長とかプロジェクトの責任者とかに相応しい風貌の方でした。

放映時のお年は47歳前後でした。実に味のある大人の俳優でした。

画像引用元:Wikipedia
Trailer screenshot – I Love Melvin trailer, パブリック・ドメイン
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3484714による

スティーブ、そしてゴールドマン部長お二人とも背が高く姿勢がよく、まさに憧れるアメリカの俳優そのものだったと感じました。

俳優としてのリチャード・アンダーソンさんは、600万ドルの男と双璧を成す「バイオニック・ジェミー」の他、以下の作品にも出演されていたとかでビックリします。

野生の証明(1978年の日本映画。森村誠一作)

ナイトライダー(1982年のアメリカの特撮ドラマ)

特攻野郎Aチーム(1983年から放送されたアメリカのテレビドラマ)

その他にも数えきれないほどの作品に出演されて、いかに大スターであったかがうかがえます。

彼は2017年8月31日に91歳で老衰で逝去されています。
天寿全うとも言えるのかもしれませんが、でもダンディな彼の姿はお年を召してもまだまだ見たかったというのが、私を含めての多くのファンの気持ちだったと思います。

 

600万ドルの男の意外な出演者とエピソード

実は意外な出演者がこの作品にはいます。
それは「ビッグフット」の回に出て来るフランス人のプロレスラーのアンドレ・ザ・ジャイアントです。
1993年に逝去されているのでお若い方は知らない人もいるとは思います。

身長223㎝、体重236㎏という人間離れした巨体、圧倒的なパワーで寄せ付ける者は殆ど無し、人間山脈、世界8番目の不思議、バトルロイヤルの帝王とか様々な愛称で呼ばれました。

ビッグフット役として彼が出演しているのです。顔はかなりメイクされていますが、よく見ると確かにアンドレだ、と分かります。

1980年代後半のアンドレ・ザ・ジャイアント↓↓

引用元:Wikipedia
John McKeon – Flickr, CC 表示-継承 2.0,
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=19785623による

 

ビッグフットの時の回↓↓ リンク切れはご容赦を。

引用元:YouTube Six Million Dollar Man (Steve Vs. Bigfoot) より

 

大きなエピソードとして、スティーブが最初に超高速の航空機で事故を起こし瀕死の重傷を負う、という設定で、航空機が砂煙?をあげながら事故を起こしているシーンがドラマ冒頭にあります。

実はこれは実写、つまり実際の航空機事故映像が使われているそうです。しかも交信の会話も実際のものだとか。

航空機と言っても旅客機ではなくて、軍事/宇宙開発が目的のリフティングボディー機と言って、主翼がほぼ無い構造で抵抗を少なくし、揚力は機体そのもので発生させて極限の高速飛行を狙うというものです。
この技術はその後の多くの航空機やスペースシャトルなどにも応用されたそうです。

なお事故シーンの航空機、NASAのM2-F2 は「地面に衝突し、機体の破片を撒き散らしつつ6回横転した後、ひっくり返ってやっと静止」(Wikipediaより)したそうですが、幸いなことにパイロットは一命をとりとめました。

しかし「ブドウ球菌に感染し右目の視力を失うという代償を負った」(Wikipediaより)そうです。
600万ドルの男では左目の損傷という事になっていますが、でも実際の事件に基づいた設定と言えるのではないでしょうか?

このシーンについてはWikipediaで以下の説明がされています。

番組のオープニングでは毎回、オースティンが事故に遭遇しサイボーグに改造された経緯を紹介する映像が流れるが、この事故の映像は、実在する実験機の飛行中の事故のものである。

恐らくM2-F2の乗員が助かったから使われたという事だと思いますが、今の時代は助かったとしても本人や家族の意向や視聴者の意向を充分に聞いてからでないと使えないでしょうね。アメリカ、日本共に。

 

600万ドルの男はスーパーヒーローであり、しかも姿は普段のそのままでとてつもないパワーを発揮するというところが受けたのだと思います。

今でも(アメリカ、日本でも)このような「変身しない悪と戦うヒーロー」のドラマは作れると思います。

しかし変身せずに戦う、というのはとてつもなく難しい事でもあります。
多くのヒーローもの/アニメもののファンは「悪と戦うヒーローは変身して、様々な武器や専用の乗り物に乗る」という先入観があると思うのですね。私も含めて。

例えば昔から今に至るまでちょっと考えただけでも、

・バットマンのバットモービル

・特に武器や乗り物は使わないがスーパーマンへの変身と空を飛ぶのに欠かせないマント

・ウルトラマンシリーズの変身、そして変身するための多くのアイテム「ウルトラマンに変身するためのベータカプセル」、「ウルトラセブンに変身するためのウルトラアイ」、「ウルトラマンAのウルトラリング」など。

・アンパンマンの「アンパンマン号」←私的にはヒーローが乗る乗り物では一番遅くて一番カッコ悪いと思うのですが・・・

 

600万ドルの男の主演を演じたリー・メジャースさんは2023年7月現在で既に84歳ですが、きっとアメリカでは新たなバイオニック組織の更新手術を受けて、今でも北米大陸を100km/hで走り、急峻な丘をビビビビという音をバックに軽々と乗り越え、災害地で多くの人を救助されていると思います。

何歳になっても素晴らしい活躍をお祈りいたします。

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4 Responses to “600万ドルの男”

  1. 3あほ より:

    「600万ドルの男」は左目に能力があったんですね。確かに再放送を見てました。
    それ以上に見てたのが「バイオニック・ジェミニー」で、こっちは両耳でしたっけ?
    キレイなおねいさんは好きでしたが、ちょっと待て!そういうのは日本にもいたぞ。
    「フランソワーズ・アルヌール」がいたじゃないか!日本人じゃないけど、フランス人のバレリーナの
    ゼロゼロナンバーサイボーグが…。こっちはアニメ化更改されるたんびにかわいくなって…。
    ・・・でもくぎ付けだったのは「ワンダーウーマン」のおっぱ☆だったりするはじめっち

    「特攻野郎Aチーム」とか「白バイ野郎ジョン&パンチ」ってのをやってたような気はすっけど、
    あんまり興味なくって、むしろデビット・バナー博士が「ガンマー線」浴びすぎて
    緑色の怪物に変身するやつをよく視てたっす。
    それよりもどうでもいいことだけど、一番残念だったのは、40数年前、
    TVK(テレビ神奈川)で23:45から外国のピンク映画(予告では「愛のエマニエル」とかポルノ)や
    「金曜スペシャル」「11PM」「ウィークエンダー」「独占大人の時間」を超える
    エロい番組やるって、当時の週刊誌に予告されてウキウキしてたのに、
    土壇場で「諸々の事情で「保安官ニコルス』に変えて放送します」ってテロップが流れた時、
    「諸所の事情」とか「大人の都合」ってのをものすごく恨んだのっす。
    ・・・外国のエロにも飢えてた頃っすゆたか

    団次郎のウルトラマンが子どもに支持されなかったのは、変身とかグッズに依らなかったところになるんでしたかぁ…。
    自分は「ジャック」(帰ってきたウルトラマン)は好きだったすがねぇ…。
    ・・・団次郎亡くなっちゃいましたがぁ…みならいかのん

    • kaikoshumi より:

      3あほ様
      コメントありがとうございます。
      バイオニック・ジェミーの記事はもう少しお待ちくださいね。
      もしかしたら他の記事を先に書くかもしれません。ネタはたくさんあって処理しきれない状況です。

      TVKでそんな番組やっていたのですか?知りませんでした。
      TVKと言えば「新車情報」くらいしか見ませんでした。
      あの名物司会者、なんていうお名前でしたっけ?メーカーから来た説明員にかなり噛み付いていて、見ていてハラハラする場面がありました。
      「お前の所はもうけ過ぎなんだよ!」と本番中に言ったりしてスタジオがヤバいムードになっていました。

      最近日本ではアメリカのTVドラマをやりませんが、本国では色々やっているのでしょうね。
      それにしても600万ドルの男とかやっていた時はアメリカ本国でもTVドラマの黄金期だったのでしょう。
      それらを遡って行くとやはりサンダーバードやスーパーマンなどにたどり着くと思います。

      また弊サイトにお越しくださいね。

  2. キュア梅盛 より:

    やはり日本語吹き替え版は

    「600万ドルの男ことスティーブ・オースティンは改造人間である・・・」

    という中江真司氏のナレーションが毎回流れたのだろうか?気になります。

    • kaikoshumi より:

      キュア梅盛様
      コメントありがとうございます。
      ナレーション、はっきり覚えていませんが恐らく毎回ではないでしょうか。
      そういうのが番組のウリになりますよね。

      カッコ良くて面白いドラマでした。
      でも非常にひねくれて考えると、誰でも同じ役が出来て、今でいうYouTubeでも作品作れちゃう感じもしました。
      変身とか武器は不要で、戦闘シーンはスローモーションにすればいいので。←根性悪いですね。

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こんにちは。私の名前は「 ノンダクレー」と申します妻子持ちの普通のクソ親父であります。
東京で生まれ育ち、横浜市に長いこと住み、現在は北海道札幌市におります。
色々と思う事が多くなる年齢、このサイトで「懐かしい街と物」をお楽しみ頂ければ幸いでございます。

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