オレたちひょうきん族 (テレビ番組)
オレたちひょうきん族
オレたちひょうきん族、という番組をご存知でしょうか? 或いは覚えていらっしゃいますか?
1981年5月16日~1989年10月14日まで土曜日の20時~20時54分までフジテレビ系列で放送していたお笑い番組でした。
今考えてもお笑いバラエティー番組を7年もやるというのは長寿番組に入りますので、いかに人気があったかという証と言えるでしょう。
大昔から多くのお笑いバラエティー番組はありますが、この番組は近年(現在含む)のお笑い系の走りと言ってもよい番組だったのでは?と私的には思います。
しかし内容は現在のお笑い番組のようにお笑いタレントの漫才を主としたものではなく、お笑いタレントが(非お笑い系タレント含む) 体を張って視聴者を笑わせるというものでした。
思い出す範囲でこの番組について書いてみます。
なお当番組の出演者は現在でも第一線の人気タレントばかりですので、他サイト様からの画像引用は問題になる事も多いと思われますので、本記事はテキストのみとなる事を予めご了承下さい。(人物以外の写真はあり)
オレたちひょうきん族の何がすごいのか?
典型的なフジテレビ製作の・・・という内容でした。
内容を列挙すれば、
・当時勢いのあるタレントをたくさん使っていた。
・本人たちのネタ(トーク)で笑わせるのではなく、番組側が決めた内容を体を張って視聴者を笑わせる。
・コント内容は至って低俗、下らないの一言ばかり。PTA関係者からは評判悪かったと思う。
・それまでのお笑い系とはやや異なり、「バカバカしさを徹底的に提供する」感が強かった。
など上記4つに集約されるのではという番組でした。
特にタレントですが、ビートたけしと明石家さんまという現在でもスーパースターとして第一線で活躍する二人を中心に数多くの知名度の高いタレントをたくさん使っていました。
その他の方も当時無名、有名問わず現在でも知名度の高い多くの人が出演していました。
ざっとでも以下の名前が上がります。(敬称略)
片岡鶴太郎
タモリ
和田アキ子
山田邦子
とんねるず
西川のりお
ぼんちおさむ
渡辺正行
ラサール石井
安岡力也
この方々以外にもまだまだ知名度の高い方はいらっしゃいました。著名な俳優さんもいましたね。
とにかく出演者が非常に豪華だったんです。
多くの番組は主役(今で言うMC)は知名度が高い人を使い、後は新人や芸歴は長いけど知名度の低い人だったりするのが普通ですが、この番組は実に絢爛豪華たるメンバーが揃っていました。
もちろん当時はデビュー間もないとか、事務所もこれから売っていく途上というタレントもいたでしょうが、当時の出演者の多くが現在でも高い知名度、そして第一線で活躍されている方も多いという人選はすごいことだと思います。
主なキャラクター
様々なキャラクター登場しましたが、中には現在でもお笑い系で使われるキャラクターもあります。
いくつか例を挙げてみましょう。
・タケちゃんマン
ビートたけしさんが正義のヒーローに変身するものです。上下赤とシルバー(白?)を基調とした派手な色の服を着て、下は短パンというよりもブルマに近いものでした。
メーキャップも頬紅を強調し、男のメイクとしてはかなりおかしなものでした。
戦う相手は後述する明石家さんまさんでした。戦うというよりもコントでしたね。
今でもタケちゃんマンは様々な番組で呼称だけは使われることがあります。
・ブラックデビル
明石家さんまさんが扮する悪のキャラクターですが、見た目が悪っぽいだけで結局はタケちゃんマンとのコントに終始し、せいぜい頭を引っ叩かれて終わるとかでした。このブラックデビルの話し方は現在のさんまさんの話し方そのものです。つまり40年間変わっていないのです。
・アミダばばあ
これも明石家さんまさんが扮する何かちょっと不潔感のある悪のおばあさんでした。
あみだくじ♪ あみだくじ♪ ・・・と怪しげに歌いながら登場します。タケちゃんマンとのコントの末に結局は玉砕されてしまうのですが、やり取りや終わり方がブラックデビルとあまり変わらず、極論すれば衣装の違いだけ?と言いたくなります。なぜか軍手をしていましたよね。
・ホタテマン
安岡力也さん扮するホタテマンというキャラクターで背中に大きなホタテ貝をしょっていました。
彼は当時もマルチに活躍されていたのですが、その一つにロックローラーがあり、番組中で「ホタテのロックンロール」という歌を歌っていました。
彼はレスラーのような体格、強面のフェイスでしたが、時折ふと見せる優しい表情が魅力でした。
芸能人はどんなに役を作っても一瞬その人の本当の表情/姿を見せることがありますからね。
それにしても安岡力也さんは故人になってしまい、あの強烈なキャラが見れなくなったのは残念に思います。
他にも多くのキャラクターがいましたが、代表的なものをあげて見ました。
本当はそれぞれの説明部分に写真を入れたかったのですが、まあ大人の事情ということで。
上記のキャラクターの元ネタの写真でご容赦下さい。
どうしても当時のキャラクターを見たい方は画像検索でご覧下さい。
オレたちひょうきん族は他局にケンカを売った?
この番組の制作の理由は分かりませんが、私の考えでは「フジテレビがTBSにケンカを売った」と思っています。
理由はこの番組の放送時刻である土曜日の夜8時という最高のゴールデンタイムには、TBSで「8時だョ!全員集合」をやっていたからです。
8時だョ!全員集合は1969年に放送開始されましたが、当時はまさにオバケ番組と言われるほどの大人気で、子供たちは土曜日の夜8時が待ち遠しくてならなかったのです。(私もその一人)
当時のバラエティー番組の頂点、誰も8時だョ!全員集合を倒す事が出来なかったのです。
当時はそれぞれが面白いと思っていましたが、まだホームビデオがない時代ですので、テレビが同じ部屋に2台無い限り(当時はそんな家は富裕層でも殆ど無かった)片方しか見れなかったのです。
私は放送開始時からオレたちひょうきん族を見ていたかどうかはっきり覚えていませんが、8時だョ!全員集合の後期はオレたちひょうきん族を見ていたと思います。
あくまでも私の感覚ですが子供も年齢が上がるにつれて、当時の8時だョ!全員集合のコントが面白くなくなって来た、マンネリ化していると感じるようになって来たというのが原因だったかな?と感じます。
8時だョ!全員集合のコントは1980年代でも既に古典的なものばかりで、ちょっと年齢が上がると「最近面白くない」と感じる人もいたのではと思います。
8時だョ!全員集合は1985年終了なので、オレたちひょうきん族よりも終了が4年も早かった、調べると当初はどうしても8時だョ!全員集合の視聴率を抜けなかったのが1984年あたりから視聴率が逆転するようになったというデータも裏付けているのではないでしょうか?
つまり後年はオレたちひょうきん族の方が面白く感じる人が多かったということです。
当時からフジテレビはバラエティー番組で勝負というのが前面に出ていたので、どうしても8時だョ!全員集合だけは倒したかったのでしょう。
でも2000年代以降、2021年の今日現在含めてもテレビの歴史の中でお笑い系バラエティー番組の最高峰と言えばやはり8時だョ!全員集合が取り上げられて、決してオレたちひょうきん族ではないのです。
それぞれ切磋琢磨したのだから良いと思いますが、今考えても8時だョ!全員集合は観客がたくさん入った劇場と言える舞台でパトカーを走らせたり、爆竹を鳴らしたり、ラクダとかヒョウとかの動物を出演させるとか信じられない演出が多かったですね。だから今でも伝説の番組とした語り継がれ、DVDもズラッと並ぶという栄光を得ているのでしょう。
オレたちひょうきん族と8時だョ!全員集合の違い
オレたちひょうきん族と8時だョ!全員集合、当時の2大バラエティー番組と言えますが、それぞれテイストは異なっていました。
少し先述しましたが、8時だョ!全員集合は古典的なギャグ、家族でテレビの前に揃って座り一体となって楽しむという古くかある日本の家庭の一風景と言えます。別の言い方をすれば「サザエさん」でしょうか?
それに対してオレたちひょうきん族は家族揃って楽しむというよりは各個人がそれぞれ自分の部屋で見て笑う、内容も家族揃ってをあまり意識されていない作り方、と私は感じるのです。
これって後のバラエティー番組にも影響を多少は与えていると思います。
1つはドリフターズの一員である志村けんさんは変なおじさん、やバカ殿様を考案して大活躍されましたが、この2つの番組はドリフテイストをたっぷりと含んでいながら、家族揃って見るよりも見たい時に見る感を強く私は感じるのです。
もちろんホームビデオ(DVD)が普及した時代だからという事もあるかもしれませんが、志村けんさんの心中ではほんのごく僅かでもオレたちひょうきん族からヒントを得たものもあったかもしれません。
あの強烈なキャラクターが番組の中の主役と言って良い作り方は従来のドリフではなかったですよね。
2つ目はフジテレビで2021年5月現在でも金曜日夜に放送をしている「全力!脱力タイムズ」です。
オレたちひょうきん族と同じテレビ局という事もあるかもしれませんが、でも30有余年の年月の差がありますので関連性があるかは分かりません。
全力!脱力タイムズは報道番組である、という前提で作られていますが内容は100%コント番組です。
しかも近年あまりなかった形態の内容で、最初は子どもが見ていたのですが一緒に見ていてすごく面白くて私もはまってしまいました。
コント、といっても内容は徹底しているという程露骨なヤラセの連発なのですが、昨今テレビでのヤラセはご法度となっているのに全力!脱力タイムズほど強烈にヤラセに徹すれば誰も文句は言わないんじゃないか?と思う程の内容です。MC役の有田哲平さんでさえ「この番組自体がヤラセですから」なんてゲストに言ったりします。
でも毎回全力!脱力タイムズを見ていて他人事なのに心配になるのは、「いくらヤラセ、台本があっても番組収録後にはタレントどうしの人間関係が悪くなるのでは?」と思っています。
もし見たことが無い方は一度でも番組をご覧になればお分かり頂けると思います。
言い方変えれば近年まれにみる酷い内容の番組とも言えます。
オレたちひょうきん族以前の同テイストはあったか?
私は本記事で、「オレたちひょうきん族は当時今までにない、言い換えるとドリフには無かったお笑い系バラエティー番組の走りだと思う。」と書かせていただきました。
でも無責任な発言になりますが、(あくまでも個人的考えですが) オレたちひょうきん族よりもずっと前に似たようなテイストのお笑い系バラエティー番組はありました。
・巨泉×前武ゲバゲバ90分!
1969年から1971年にかけて2期に分けて日本テレビで放送されていたバラエティー番組です。
短いコントが次から次へと連なって来て、一つのコントが終わるたびにアニメのオバQみたいなキャラ(若い人は分かるかな?)が画面いっぱいに写って舌を出して「ゲバゲバピー」とか言うのです。
今でもこのキャラとゲバゲバピーの意味が私には分からないです。
調べると毎回150本もの短いコントを連ねていたそうで、ハナ肇さんの「アッと驚く為五郎」という伝説ともいえるフレーズもこの番組から生まれたようです。
2期に分けて2年間というのは極めて短い放送期間と言えますが、でも驚くのは毎回90分番組(実際は80~86分)でやっていたという事でした。1回放送につき150本のショートコントを入れるというのは狂気の沙汰ですね。
この番組はオレたちひょうきん族とはテレビ局も内容も大きく異なりますが、ドリフのような雰囲気とは全く異質のものでした。8時だョ!全員集合と同じ年にスタートというのは単なる偶然か、時代が求めていた笑いかどちらかなのでしょう。
この後の番組に影響を与えたかどうかは分かりませんが、当時のバラエティー番組は8時だョ!全員集合やサザエさんのような雰囲気が多かったと思われるので、ある意味一石を投じる内容だったと今でも思います。
・3分勝負15ラウンド
1976年10月から12月にフジテレビ系列で放送された極めて短期間で終了してしまったある意味伝説の番組でした。
これもフジテレビ製作ですが、実は上述の巨泉×前武ゲバゲバ90分!に造りが少し似ています。
3分単位のショートドラマやクイズなどを次から次へと流していくもので、各コントの最初にはラウンドガールが「ラウンド〇」と書かれた板を上にあげながら登場し、アナウンスで「ラウンド〇!」という声が入っていました。
とにかく短期間で終わってしまったし、土曜日の22時から1時間の枠だったので、その前の8時だョ!全員集合の興奮の後で見ない日も多かったりしたのでところどころしか覚えていません。
今で言う全力!脱力タイムズみたいなコントもあったのですが、下着/水着姿のお姉さんをたくさん出演させるという週末の夜の視聴率稼ぎミエミエの下世話な番組でした。
この番組がたった3ヶ月で終了した理由は下品なコーナーに激怒した当時のフジテレビ社長が止めさせたとかだそうです。
そのコーナーとは「大きなすり鉢に水着姿の女性を入れて、油を流して滑りやすくし、上にある商品を這い上がらせて取らせる。」という極めて下品、低俗極まりないもので、これに社長が怒ったそうです。
私がこの番組で覚えているのはこの下品なところではなくて、「芦ノ湖(箱根) に幻のアッシーを探す」とかでした。
アッシー、つまりネス湖のネッシーにひっかけたパロディで、芦ノ湖でいきなりハリボテの足が湖面に浮かびあがり「これが芦ノ湖のアッシーだ!」とかを言って終わりでした。
その直後にアッシーのハリボテを持った潜水士が水中から出て来て、「いやー、しんどいな。お疲れさん」とか言ってこのコーナーを締めていました。覚えているのはこれと各コーナー直前のラウンド〇!という部分だけでした。
オレたちひょうきん族は下世話な下ネタなどはありませんでしたが、一目でくだらねぇ!とか思わせる部分はほんのちょっとは3分勝負15ラウンドを参考にしたかもしれませんね。
フジテレビに限らず各局が作る番組は毎回ジャンル問わず賛否両論の嵐となりますが、視聴者を不快にさせない程度に思い切ったことをやるのはアリだと思います。
でも最近はコンプライアンスやSNS炎上を恐れて大人しくなってきている、或いは逆に「やりすぎ、不愉快」というものも存在します。
さじ加減は難しいと思いますが、テレビ制作者の皆様には本記事で取り上げたような「何十年後も伝説の番組として取り上げられる」ものにチャレンジして頂きたいと思います。
そうでなければテレビ番組はYouTubeやNetflixなどのネットメディアにいつまで経っても太刀打ちできないのではないでしょうか?
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