ナショナル(パナソニック)の不思議なラジオ
ナショナル(パナソニック)は不思議なラジオを出していた
1960~1970年代、或いは1980年代前半までは各社ともに非常に個性が強く、面白いラジオやラジカセを販売していました。
そういうマニアでなくても一般消費者にも相当数が売れた時代です。
多分、1960年代からのラジオやテレビは真空管を脱却し、一気にトランジスタやIC化が進んで手のひらサイズの製品が作れるようになった、高度経済成長期で景気が良かったなどがあげられると思います。
そんな中ナショナル(旧 松下電器産業株式会社、現 パナソニック株式会社)のあるラジオは私的に非常に印象深く心に残っている製品の一つなので取り上げてみたいと思います。
当時は各社ともに従来のラジオのイメージを打ち壊すような外観の物が多かったのですが、私が印象深いのが「R-72 パナペット・クルン Toot-a-Loop 」というAMラジオでした。
1972年発売、つまり2023年基準で既に53年も前になります。
しかしその斬新、或いは未来的ともいえるデザインは今でも古さを感じさせない物に仕上がっていました。
ナショナル R-72はどんなラジオ?
そのデザインは以下でした。
↓クリックで別タブ(ページ)で拡大表示されます。
引用元:楽天市場 様
https://www.rakuten.co.jp/
いかがですか? 摩訶不思議、斬新、でも見方によっては1950~1960年代のアメリカの家電などを思い浮かべる人もいるかもしれません。
そして上記の状態から閉じる(たたむ)ことが出来て、それが以下となります。
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引用元:楽天市場 様
https://www.rakuten.co.jp/
たたむと穴の部分に手を通して持ち運びが容易となります。
そしてたたんだ状態でもラジオは聞くことが出来ました。
でも少々腕にずっしりと来ましたけどね。
この時代で表示されているブランドは既にパナソニックなんですね。
非常に斬新なデザインで目を引きましたが、中身は非常に単純なAMのみのラジオで、特にスピーカーが大きく音が良いとか、そういう面での特徴はありませんでした。
回路も最も普及していた6石スーパーヘテロダイン方式なので感度は充分でした。
6個のトランジスタを使ったもの、という意味です。スーパーヘテロダインは受信機の回路方式の事ですが、知りたい方は恐れ入りますが別途お調べ下さい。但し最低限の電子工学の単語が伴います。
この6石スーパーヘテロダインというラジオは他社はもちろん、ラジオキットでさえ多く販売されていた (いる) 非常にポピュラーなものなので、部品代も安く済んだと思われます。私も何台かの6石ラジオを作りました。
スペックを調べると電源は9V電池(006p)という角形のちょっと大きくて重たい物です。
ラジオの重量は370gと書いてあるのですが、電池込みかどうかは分かりません。
でも「込み」だとしても穴に腕を通して持ち歩くという用途ではかなり重いですね。
そしてデザインからしてもターゲットは若い女性と思われますので、常に腕に通してラジオを聞くという人は少なかったと思います。
開いてダイヤルが見える状態で置くと、非常に安定していました。
スピーカーは直径6㎝らしいので音はよくありません。
でも本体の体積が大きいのでキャビネットの効果でしょうか、比較的聞きやすく音量が充分だったと記憶します。
このラジオを実は私は持っていませんでした。
しかし従姉が持っていて自慢げに見せてくれたので、散々?触らせてもらったのです。
当時私はガキンチョだったとは言え、父がラジオやステレオアンプなどの製作が好きで(但し真空管)家にはそういう部品がたくさんありました。
だから自分もラジオキットを買ったり、或いは部品単体で集めてラジオや様々な電子工作を始めたころでした。
そんな中、このR-72や他社も含めた多くのラジオが世間では日々発売されて興味が尽きない日々だったのです。
従姉もこの黄色を持っていたのですが、他にも赤とか複数色あったようです。
50年超経過したR-72はネットで入手も可能なようです。
但し1万数千円~2万円超という値段です。「動作します」と書いてあってもボリュームはガリオーム(音量調整するとガリガリ雑音が出る)になっていたり、音が極端に小さかったり、感度が悪かったりする個体が殆どだと思います。
そうであれば本体に傷が無くても、内部の部品はあちこち交換しなければなりませんし、入手不可能な部品は代替品を探すか、場合によっては代替の回路を考えて部分的に組みなおす(設計しなおす)必要も出て来ます。
だから観賞用はともかく、放送受信という実用的な部分まで求めるのは酷だと思います。
半世紀たっても色あせないデザイン、当時の年代からしてもサンダーバードなどの影響を受けていると感じたのは私だけでしょうか?
そして自慢げに「本当に買って良かった」と嬉しそうにしていた当時の従姉の顔も未だに忘れていません。
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これは珍しいラジオですね。私は中学3年の修学旅行で東京へ行ったのですがこの時、アマチュア無線が聞ける短波のラジオが欲しくて母に無理を言って買って貰いました。ソニーのTR714で今も形見として机に飾っています。
多分鳴ると思います。
悠楽子様
こんにちは。コメントありがとうございます。
当時は本当に個性的なラジオが多く売られていました。他にもSONYの掌サイズのメタリックな外見でしかも充電式とかもありました。
1974年頃かな、と思いますがSONYのスカイセンサーシリーズ、カッコ良かったですね。今見てもピカ一のデザインです。
その頃にはナショナルからも「吠えろ!クーガー!」とかのキャッチフレーズで、ほぼ正方形の外観、そしてAMバーアンテナが回転して最高感度で受信できるなんてありましたね。
地味なイメージの三菱もジーガムなんて言う超カッコいいものがありました。
それに比べて今のこの手の商品のデザインは・・・と思ってしまいます。
当時の第一線の商品はまだネットで手に入るものもありますし、「完動品」と言って売られているものもありますが、殆ど全てはまずケミコンがドライアップしているのであちこち
部品を取り換えないと音が小さい、感度悪い、Fレンジがおかしいなどの症状があると思います。
でも個人的にはスカイセンサー5500が欲しいな、なんて思ったりもします。
そうですね。クーガーかっこいい正に通信型の様なラジオでした。私のもう一つの愛用ラジオは三洋電機のRACEIVER(RP7700)です。MW,SW,FMと27Mhzの
市民バンドが入っています。夜寝る前にMWを聞きながら眠りに付きます。市民バンドはもう壊れました。
悠楽子様
コメントありがとうございます。
当時は一番安いものでFM/AMの2バンド、少し高くなるとSWがつき、さらに上位機種ではSW1、SW2とかさらにワイドバンドでしたね。
そう言えばFMもワイドバンドでTVの1~3chが聞けるとか、物によっては1~12chまで聞けるなんてありました。
あんなにメーカー同士も競い合った時代、今はそんな競争さえなくなってしまった感じがして残念に思います。
だから他のアジア諸国に負けたのかな、と。
またの再訪お待ちしております。
あたいはむずかしいことはよくわかんないけんども、むかし2じじぃのどっちかが「技術」で作った、
「スーパーヘテロダイン6石(チューニングライト併せると7石)トランジスタラジオ」は、
ボディはあちこち割れてかけてるけど、今でも現役だったりするのだ(45年モノなのだ)。
ゆたかは、「タモリ倶楽部でやってた「FMも入る災害対応ラジオ」組み立てたいっす」って言ってるのだ。
・・・感度はどうかわかんないのだつるみん
あほのつるみん様
コメントありがとうございます。
技術で作った、懐かしいです。似たようなラジオキットは個人的にはたくさん作りました。
どんなもの作っても聞くものはラジオなので同じですが、毎回スイッチを入れて音が出て来るとドキドキワクワクしました。
ちょっと専門的で恐縮ですがスーパーヘテロダイン方式ラジオというのはラジオの方式の中で最高感度が得られる高性能なものです。
もっともアンテナとかが重要なんですが。
災害対応ラジオ、組み立てでも良いけれど市販の手回し発電付をお勧めします。
北海道も5年前の大地震の時にうちは40時間停電しましたが、ネットも使えなくなった挙句、助けてもらったのは手回し発電付ラジオでした。