昭和の自転車はイケイケ!!
昭和の自転車は想像以上にイケイケ!だった
自転車と聞いて何を思い浮かべますか?
ここでの質問は自転車での通勤通学、旅など「乗ったことに対して」ではなくて、自転車そのものについてです。
多くの方は「ママチャリ」、「ライトを使うと重くなるペダル」、「自転車に付けていた籠」などを思い浮かべ、自転車が趣味の人は「マウンテンバイク(MTB)」、「様々にカスタマイズしたボディ」などでしょうか?
特に最近は電動アシスト自転車が増えていますので、それを真っ先に思い浮かべる人も多い事でしょう。
でも例えば40代半ば以降のご年齢の方とかだと違ってくるかもしれません。
これらの年代の方に自転車の思い出は?と聞かれれば「ドロップハンドル」、「ツインフロントライト」、「フラッシャー(方向指示器)」、「オートマの車のようなシフトレバー」、「速度計」、「非常に段数の多い変速機」など非常にマニアック、かつ今の時代ではあり得ないメカの集合体ではないでしょうか?
ドロップハンドルとは以下のようなものです↓
多くの若い方は「え?自転車にフラッシャー?」、「何で速度計いるの?」とか不思議に思うどころか「本当にあったの?」疑念を持つ人も多いかもしれません。
今街にあふれている自転車の殆どは(電動アシスト付きの有無を問わず)所謂ママチャリのデザインを踏襲したものとなっています。
ドロップハンドルなんてまず見ませんし、遭遇したら乗っている人は相当な自転車マニアとかだと思います。
ドロップハンドル車はどうしても前に体を倒す姿勢になるので長距離を走る時には良いのでしょうが街乗り、ちょっとした買い物などでは疲れる人が多いはずです。もっともそれが好きならば乗りにくいなんて思わない事でしょう。
そして昭和のイケイケ自転車は今でいう自転車マニアのため、というよりも子ども、特に小学生~中学生の男の子がメインターゲットだったのです。
でも子ども向けというわけでもなくて、「非常にメカメカしい」、「男心をくすぐる」装備だったので、もちろん二十歳過ぎの人にも大ウケでした。
では昭和の自転車のイケイケとはどんなものだったのでしょうか?
本記事で言う「昭和の」とは概ね1970(昭和45年)~1980(昭和55年)年頃を想定しています。
イケイケ自転車とは?
具体的にイケイケ自転車の機能などをご紹介します。
●自転車のフラッシャー
フラッシャーとは方向指示器のことです。今でも自転車が交差点を曲る時は前方後方確認をしながら曲がりたい方向に腕を伸ばして意思表示をするのが良い、という意見もありますが、一時的とは言え片手ハンドルになるので危険ですね。
でもフラッシャーならばバイクのようにハンドルについているスイッチを指先で操作するだけなので安全です。
イメージ的には以下のようなものかな?と思います。
これはちょっと大げさすぎる例(実際の製品写真ではありません)ですが、フラッシャーやその他について具体的な説明と写真や動画がアップされているJAF Mate Onlineさんのサイトも参照されると現実の自転車がよくわかると思います。
(著作権、引用の問題があるので当サイトでは引用の写真は載せずリンクのみとしています。)
別タブで開きますが以下のリンク切れはご容赦下さい。
当時、イケイケ自転車の最大のウリはやはりこのフラッシャーだったと思います。
その他にも様々な装備がありましたが、フラッシャーは非常に目立つ装備ですし、男子から見れば「車みたいでカッコ良い」という気持ちが強かったメカでした。
フラッシャーの光も単に方向別のランプが点滅するだけでなく、中央から外側に向かって光が流れたり、光の点滅に合わせて電子音が流れたりもありました。
でもフラッシャー装備の自転車はどうしても他の装備も満載なので、値段は一番高いランクになります。
この装備の自転車はメーカからしても一番売りたい、そして企業の顔ともいえる商品だったので、あらゆる広告では前面に打ち出していて、特に少年誌の裏表紙には当時必ずに近い頻度で大きく広告が載っていました。
私もそのカッコよさ、メカメカしさに一目惚れしてしまい、寝ても覚めてもフラッシャー付き!という状態でした。
しかし家は中流家庭と言っても当時は絶対的な収入がそれほど高くなかったので、とてもそんな高価なものは買ってもらえませんでした。(自転車の値段は覚えていませんが)
そして雑誌広告ではよく見るものの、実際に見たことがあるのは2~3度くらいだったでしょうか?
当時家に車のある家は極めて少なかったのですが、車を所有している家の子どもでもフラッシャー付き自転車に乗っている子どもは殆どいませんでした。
親から見ても「なぜ自転車にフラッシャーが必要なのか?そんなもの付けただけでこんなに高価になるなんて」という思いが強かったことでしょう。
●速度計
やはりこれも自転車には不要な装置と言えます。
昔も今も自転車には法的な最高速度はありません。(ただし車用の標識に例えば40と書いてあったら自転車もそれに従う必要あり)
だいたい自転車の速度はスポーツタイプで、どんなに頑張って漕いでも30km/hくらいなもんです。
40km/h超出せる人(競輪選手でない素人)もいますが、例外です。
法的に決められてもいないので速度計なんていらないし、子どもがそんな自転車乗ったら速度計が気になって前方不注意で事故ってしまう可能性の方が高いです。
↓メーカーにもよるが60km/hフルスケールのメータが多かったと思う。
当時は値段や技術的な問題などで殆どがアナログメータではあった。(実際の製品写真ではありません)
ただ乗り物として「今何キロ出ているか?」は気になるのは当然で、少しでも早いスピードを出したいというのは人間の本能でもあると思います。
●ハブ毛
これは今でも売っているし、街中でもごくたま~に見ることもあるのですが、前輪もしくは前後輪のハブ(シャフトの太い部分)に取り付けて、走行中の汚れを取る、おしゃれに見せる、というものです。
色のバリエーションも様々ありました。
↑本写真の引用元:Amazon.co.jp 様
汚れ軽減効果というものがどれほどあるのか未だに考えてしまうのですが、確かに大ヒット商品であったことは間違いありません。
安価なものだったと思うのですが、でも私はぜんぜん付けたいと思いませんでした。
何か付けると逆にカッコ悪い、と個人的には思っていたのです。
男っぽくない、なんてガキンチョのくせに思っていたのだと、多分。
●変速機のシフトレバー
今でも変速機付きの自転車はごく普通にあるし、むしろ変速機付きの方が多いのではと思います。
でも今の自転車の変速レバーは殆どがハンドルの部分にあって、手も殆どハンドルから離さなくても操作出来るような位置に設置されています。
しかしイケイケ自転車のシフトレバーはハンドルに付いているものは少なくて、たいていハンドルからサドルに繋がる真ん中のフレーム上にありました。
車で言うセンターコンソールの場所です。
もっとも自転車は構造上車のセンターコンソールにあたる場所に跨る形になりますが。
今の自転車のシフトレバーは味気ないゴムのグリップを回すもの、親指で操作出来そうな小型のレバーとかが多いですが、イケイケ自転車のシフトレバーは高級AT車のようなカッコよさでした。
ギアの段数を表す数字の他に、「High」、「Low」とかどちらに動かすのが高速側か、というのが分かるようになっていたり、非常にメカメカしいレバーが多かったのです。
↓これは大袈裟だけどイメージ的には超カッコ良いレバーが付いていた!
本当に当時のイケイケ自転車はメカメカしく、しかも全体的に一体感があって(後付け感を感じさせない)カッコ良かったと今でも思います。
イケイケ時代でもカッコ悪い自転車も多かった!
当時のカッコ悪い自転車、というのは実は今でも存在し、正確に言うと「カッコ悪くしてしまった」ということになるのです。
それは自転車の前輪の泥除け(走行中にタイヤが巻き上げた泥を乗っている人にかからないようにする部品)に住所氏名などをマジックで書くということです。
当時は防犯登録制度なんて無かったので、車体のどこか目立つ場所に住所氏名を書くことが暗黙の了解で行われていました。
勿論カッコ悪いから、という理由で書かない子どももいましたが、人により親の強い勧めで書かざるおえなかった、もしくは親が勝手に書いていた、という事もあったのです。
↓以下の写真はドロップハンドルのサイクリング車。
この手のタイプではまず住所氏名は書かなかった(カッコ悪いから)が、当時~今もフレームに水筒を付けている人は多かった。
そして驚いたのは、自転車を購入する時に自転車屋さんが住所氏名を無料で書き入れてくれる事もあったということです!
時代も時代なので親切心からの事であり、子どもの親も「あの自転車屋さんはとっても親切だね」と感心したりしたのでした。
私は勝手に書かれたりしたことはありませんでしたが、人によっては泣きたくなるくらい嫌だった子どもも多くいたことでしょうね。
なんか服の外側の目立つ場所、あるいは顔に住所氏名を書くようなもんですね。
とにかく1970~1980年頃の少年/若者向け自転車はイケイケ度満載で、とても今の物では足元にも及ばないものばかりだったのです。
時代は繰り返す、と言いますが、今後数十年の間に当時のようなイケイケ絢爛豪華な自転車が市販されるのかというとかなり疑問に思います。
そういうものを人々が求めるかどうかにかかっているのですが、「ムダ、不必要」と思われるものが流行るには個人の生活水準が十分に良くなって、生活・お金・将来に困らないという時代背景にならないとダメだと思うのです。
でもまたああいう自転車が発売されて欲しいという淡い願いも持っています。
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