青函航路を”飛んだ”超高速船ジェットフォイル
青函航路で最速を誇った超高速船・ジェットフォイル
今は、青函連絡はJR津軽海峡線(本年3/26からは新幹線も走りますね)、フェリーがありますが、かつては短い期間でしたが「超高速船・ジェットフォイル」が最速で結んでいました。
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20数年前に一度だけ青森から函館まで乗ったことがあります。
その時代の所要時間はフェリー、青函連絡船が3時間40~50分、JRでも「快速海峡」で2時間20~30分、特急でも2時間ちょうどは掛かっていましたが、ジェットフォイルはなんと1時間40分で結んでいました。
圧倒的な早さでしたが極めて短命に終わってしまいました。
その理由は後述します。
驚異的な速度のジェットフォイル!
この船はアメリカの世界最大の航空機メーカー、ボーイング社が開発して後に川崎重工がライセンス生産しています。
当初の名称はボーイング929と呼ばれていました。
ジェットフォイルの最大巡航速度は何と83km/hにも達します。
その高速のヒミツは「速度が上がると水中翼が海中に沈んで船体が浮き上がる」、「3800馬力のガスタービンエンジンを2基搭載した高出力ウォータジェットポンプ」にあります。
推進はスクリューではなくて、前から海水を吸い込んでポンプで圧縮して後ろに噴出する推力で前進するのです。
船内は普通の船と同じ感じですが、シートベルトが付いていました。
そして船内前方にはデジタル式の速度計がついていて船としては不思議な感じでした。
ゆっくりと港を離れ、ごく普通の船となんら変わらない乗り心地で騒音も大して気になりませんでした。
そして湾外にでて、しばらくするとガスタービンエンジンの唸りが大きくなり速度もどんどん加速します。
でもドアが閉められた船内にいるとエンジンの騒音は思ったほどうるさく無かったです。
そして圧巻のアナウンスが!
「当船はただいまテイクオフしました。」
つまり水中翼が完全に沈んで船体が浮き上がったということです。
水の抵抗が一番小さい状態なので速度はどんどん上がって行きます。
でも不思議なほど揺れません。高速道路をバスで走っているような感じで細かい振動はありますが、船特有の揺れは皆無でした。
とにかくびっくりするくらい乗り心地が良いのです。
そして驚くのは旋回する時には飛行機と同じ感覚で、目の前の水平線が大きく傾きます。
でもやはり船の感覚ではなくて完全に飛行機という感じでした。
ジェットフォイルはかなり高度な姿勢制御システムを持っているそうなので、それが功を奏しているのでしょう。
スペック上では最高巡航速度は83km/hとのことですが、半分うろ覚えですが船内の速度計は88km/hまで上がったと記憶しています。
函館港が近づくと水中翼を上に引き上げるようにして船体を着水させて減速します。
でも船体が浮き上がるときも、着水するときも全く何も体には感じませんでした。
素晴らしい乗り心地と海上でありながら不思議な感覚を体験させてくれた1時間40分でした。
青函ジェットフォイルが短命に終わった考えられる理由
この船は東日本フェリーが1990年~1996年の間だけ運航していました。
以下、短命の理由を私なりに書いてみます。
1、乗船する港の場所が不便
青森側は観光物産館の「アスパム」の近く。函館側は赤レンガ倉庫街前。
青函連絡として考えると既存のJRの駅近くでないと意味を成さない。結局は両駅からはバスかタクシーになってしまう。
2、料金が非常に高い。
金額は覚えていませんが、確かフェリー普通船室の2倍かそれ以上したと思います。
3800馬力のガスタービンエンジンを2台も積んでいながら、260人しか乗れず車も運べないので高くて当然と思います。
乗った時は8月でしたが船内は空席が非常に目立っていました。
3、便数が少なく鉄道連絡も考えられていない
確か2~3往復くらいしかなかったと思います。それに駅まではバスなので鉄道のダイヤに合わせた運行形態ではありませんでした。
私は片道たった1度乗っただけでしたが、以前から興味があった乗り物なので思い出深い貴重な体験となりました。
でもやはり究極の性能を目指すには非常にお金が掛かるということですね。
乗船料金はもちろん、燃料代、整備費も非常に掛かるそうです。
他の区間では2016年2月現在でも運行されているジェットフォイルもありますが、相応の費用負担を求められるのはやむおえませんね。
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