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子ども用トランシーバー

子ども用トランシーバーが流行った!

今は通信手段と言えば真っ先にスマートフォン(以下スマホ)が思い浮かびますし、ほんの少し前でもガラケーが幅を利かせていたので、「いつ、どこでも、誰とでも」連絡を取る事が出来たのです。

しかしおおよそ30年程前の通信手段と言えば家の電話機(FAX含む)と公衆電話しかありませんでした。

自由化されたガラケーがデビューするのが1993年頃ですが、その時は端末がポケットに入るサイズとはいえ、本体価格が10万円超、通話料も人によりますが毎月数万円(もちろん1台分)なんてザラだし、ネット接続や電子メールなども無かったのです。

一般の人がインターネットが使えるようになったのはWindows95の時からと言えますし、実際にネットで多くのサービスが使えるようになるのはその2年後くらいからではと思われますので、電話とネットでの通信がポケットサイズで使えるようになってからまだ25年くらいしか経っていないのです(2022年基準で)。

しかも今のスマホはまさに「電話/通信機能付き超小型コンピュータ」ですから20年くらい前から考えるとまさに未来から来た夢のスーパーマシンで、かつ本体も通信料も驚く程安く使えるという大いなる進化をしました。

では携帯電話が世に出る前は家の電話や公衆電話以外に通信手段は郵便しかなかったのでしょうか?

そんな事はありません。業務用でなくても一般の方が使えるアマチュア無線があります。
これを使えば(それなりのアンテナがあれば)時として地球の裏側とだって交信出来ます。
しかし国家資格を取らなくてはいけないので誰でも使えるものではなかったのです。

となるとやはり家の電話と公衆電話しか誰でも気軽にの通信手段は他にありませんでした。

し・か・し! 子ども用に限って言えば例外の通信手段もあったのです。

それが子ども用トランシーバーでした。

男の子の心をつかんだ子ども用トランシーバー

1960年代後半~1980年代前半(もしくは1970年代まで)には子ども用トランシーバーなるものが流行りました。

SF映画、ヒーローものなどに出て来るような出で立ちで、実際に離れて通話が出来たのです
例えば一例として↓

画像引用元:M151A2 様 https://m151a2.jp/index.html

上記写真の製品は「ラジホーン 学研製」。

 

特に子ども用とは謳っていませんでしたが、販売していたところはおもちゃ屋さん(デパートのおもちゃ売り場含む)、模型屋などでした。

この時代様々な会社から発売されていたようですが、殆どの会社は2022年現在現存しない、もしくは他社と合併して社名が消えてしまった会社ばかりです。

無線機ですからアマチュア無線や業務用無線機を作っている会社が出してもおかしくないのですが、そういう大手は手を出さなかったようで、手軽に作れるという部分も含めて中小企業が殆どだったようです。

そんな中一番多くの種類を出していて、実際に売れていたのは今でも教育関連の大会社である学研でした。

私も型番などは覚えていませんが学研製のトランシーバーを持っていました。
覚えているのはスピーカー部がシルバーの円形のデザインで、ボディは黒、使う時に手で伸ばすロッドアンテナが付いているシンプルな物でした。もちろん2台セットです。

学研は様々な教育教材を開発して販売していましたが、まさか電子機器である無線機をなんて当時の子ども用トランシーバーをご存知ない世代の方だとびっくりされる事でしょう。

さらに現在電子機器関連のメーカ(特に技術系の方)にお勤めの方だと驚きはなおさらでしょう。

無線機は様々な電子機器の中でもかなり高度な製品の部類に入るからです。

では子ども用トランシーバーもそんなに高度な電子機器だったのでしょうか?

簡単に作れてしまう子ども用トランシーバー

無線機は非常に難しい電子機器であり、かつ内容も大変にハイレベルなものです。

私も長い事電子業界に関わって来たので無線機の設計、製造の難しさは十二分に分かっています。

しかし多くの中小企業や、いくら教育教材を長年作って来た学研であってもまともに無線機を作る事は出来ないと断言出来ます。

しかしこれらの会社がトランシーバーを作る事が出来たのは子ども用トランシーバーは非常に簡単な構成であり、当時は厳しい法的規制*をあまり受けなかったので、ちょっと電子回路の知識があれば出来てしまう、製造も製造専門会社にお願いすれば良い、というものだったのです。

法的規制* :現在の無線機(スマホ含め)は非常に多くのかつ高度な技術的要件を国から要求されます。
        理由は不当な電波を出して他の通信システム(TV、ラジオ、警察、航空、自衛隊など)に悪影響を与えてはいけないからです。内容は国によっても異なって来ます。

 

以下は当時の子ども用トランシーバーの技術的概略です。
電子業界の技術系の方ならばすぐにお分かりかと思いますが、そうでない分野の方は読み飛ばして下さい。

周波数帯:27MHz帯or 40MHz帯

受信回路方式:殆どが超再生。つまり複雑でお金のかかるスーパーヘテロダインは採用しない。(一部あったかもしれないが)

変調方式:振幅変調(AM)

アンテナ:手動引き延ばし式のロッドアンテナ

通信可能距離:100~数百m 

その他:スピーカーとマイクは兼用。当時流行った廉価版のインターホンと同じ構成。

 

一言で言えば、AMラジオに毛が生えた程度のものだということです。

トランシーバーで子どもたちはどのように遊んだのか?

私も含めて多くの子どもたちは公園や空き地などで「秘密基地ごっこ」的な遊びをしていました。
つまり実用的な通信手段として使う事は無かったのです。まあ遠くまで電波が飛ぶわけでもないし子どもだから当然ではありますが。

当時はウルトラマンやウルトラセブンなどのヒーローものが大流行でしたから、あれに出て来る隊員に憧れたという気持ちが大きかったと思います。

でも女の子で子ども用トランシーバーを持っている子は見た記憶がありません。
男の子の兄弟から借りて使った子はいたかもしれませんが。

↓こんなモデルもありました。ミニペット(ムデン製)

画像引用元:M151A2 様  https://m151a2.jp/index.html

子ども用トランシーバーの所有率は?

もちろん当時も今も所有率を表すデータなんてありません。
どのメーカーのものも2台セットで売っていて、値段は恐らく高かったと思います。
高かったというのは単純に当時の物価に対してというだけでなく、当時の世帯所得に対しての値段が高かったと思うのです。

私は生まれた場所も含め幼少期~少年時代は東京23区内でしたが、1960年代~1970年代前半の日本というか東京も貧富が差が大きく、23区内に住んでいても貧しい家の子どもも多かったのです。

参考記事東京都内での激しい経済格差

さらに男の子向けであっても殆どのおもちゃは今のように電子機器的なものは圧倒的に少なくて、トランシーバーは子ども用とは言え例外中の例外という存在だったのです。

だからトランシーバーを持っている子どもは非常に少なかったと思われます。
一応お断りしておきますが、私の家は裕福ではありません。しかし父は国家公務員だったので当時の標準的なレベルの家庭だったと思います。

所有率は低いので、例えば5~6人集まって遊ぶにしても、その中でトランシーバーを持っている子どもはいくら流行っていた時代と言ってもせいぜい2人くらいだったのではと思うのです。

だから持っている子どもは友人に貸してあげたり、自分に回ってこない子どもも、様々な工夫をしてトランシーバーを持っている子どもに「今から言う内容を伝えてくれ」とか言って「ごっこ遊び」を楽しんでいたのです。

これはこれで楽しかったです。

しかし一部の子どもはトランシーバーに対して激しい羨望の眼差しを向けていて、「俺は持っていないのに・・・」という感情をぶつけて来る子どももいました。

私も一度知らない子どもに言いがかりをつけられた事がありました。

数人の友人と遊んでいた時に、その知らない子どもは「お前のトランシーバーのおかげで俺の持っているTV電話の電波が妨害された」と言って来たのです。

その時代にTV電話なんてあるはずもなく、ましてや子どもが持ち歩いて使えるものは世界中どこを探してもありません。そのくらいは幼少でも分かっています。

ある意味それほど男の子たちはトランシーバーが欲しくて欲しくて仕方なかったのでしょうね。

都内と言えでも貧しさが同居している時代だった証でしょう。

暫くして1972年頃にラジカセブームが来た時には、このような子ども用トランシーバーは姿を消し、ラジカセの高級機には録音用マイクを使ってFMのワイヤレスマイクになるという商品も各社から現れました。

さらにラジカセによっては手のひらサイズのワイヤレスマイクが本体に装着されていて、これを取り外して喋ると、ラジカセ本体で音声を受信出来るという凝った機能の物もあって、子ども心、マニア心をくすぐったのでした。
(この脱着式ワイヤレスマイクは、本体に装着すると通常の録音用マイクになった。)

でもこのラジカセブームの時に小学校低学年とかの子どもはさすがに買ってもらえなかったと思いますが、トランシーバーの次の時代の憧れの商品であったのでしょう。

その後の子ども用トランシーバー

今でもこのような商品はあるのでしょうか?

もちろんオークションサイトなどではまだ手に入れる事が出来るのかもしれません。
しかし近年発売になった物はまずないと思われます。

世間が必要としなくなって、という理由の他に改正された現在の電波法に合致する製品を子ども用として安価で作る事が難しくなったというのも大きな理由と思われます。

どうしてもトランシーバーが欲しければ今はライセンス不要で十分すぎる性能の製品として特定小電力トランシーバーなどもあります。

しかし子どもどうしのコミュニケーションツールとしてはやはりスマホなのでしょう。(キッズ携帯含めて)

小学校に入学すれば最低限でもキッズ携帯を持っている子どもが多いようです。
これはうちの子どももそうだったのですが、子どもが欲していたからよりも親が安全安心のために与えるというものです。

やはり時代背景や災害を考えると子どもに緊急連絡も取れるツールを渡しておきたいというのは親として当然でもあります。

文部科学省や各学校は当初否定的でしたが、近年は「朝学校に来たら携帯やスマホは先生に預けて、下校時に受けとる」という運用で認めている学校が非常に多くなっています。
これは小学校のみならず中学や高校も含めてです。

うちの子どもにも小学校入学時には防犯ブザー付きのキッズ携帯を与え、中学~高校の時には本人の強い希望もあってスマホを与えました。

もちろんこれらを与えるのは良くない、早すぎるという親もいますし、その考えが間違いだとも思いません。

しかし緊急時のみならず、家族間の連絡にもなくてはならないツールになってしまっていますし、子どもたちどうしでも必須のツールになっているのも事実です。

社会が要求している部分もあります。何でもかんでも「スマホからご応募下さい」は当たり前ですし、コロナ禍でのリモート授業や受験する学校への出願もスマホやPCで、になっていますね。

これらは悩ましい問題ですが、「せめて高校までは与えたくない」と考える親、そして現在でも一定数いる「子どもに持たせたくても経済的事情」から困難な家庭があるのも事実です。

親の考えで、はともかく経済的事情などでは今の時代を以てしても経済格差は存在していると言わざる負えないと思います。

せめて緊急連絡を取らなくてよい、または所有していないことで仲間外れにされない事を祈りたいと思います。

 

さて時代は変われど、やはり子どもどうしであっても「友人と繋がっていたい」、「仲間どうしの関係を大切にしたい」という考えは強いのだと思います。つまり老若男女問わず人間としての基本なのでしょうね。

今後もスマホをはるかに超えるようなコミュニケーションツールが出て来ると思いますが、それはあくまでもツールであって人間関係の温かみだけは未来永劫不変であってほしいと切に願います。

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こんにちは。私の名前は「 ノンダクレー」と申します妻子持ちの普通のクソ親父であります。
東京で生まれ育ち、横浜市に長いこと住み、現在は北海道札幌市におります。
色々と思う事が多くなる年齢、このサイトで「懐かしい街と物」をお楽しみ頂ければ幸いでございます。

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