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列車のトイレは・・・

列車のトイレ

 

列車も新幹線、特急、長距離路線、ローカル線など様々な車両にトイレが付いていて、付いていないのは大都市圏の通勤電車や地下鉄、路面電車くらいですね。

やはり大勢の人が長時間乗るものですからトイレは必須と言えます。

普段何も気にせず使っている列車のトイレですが、乗り物ですから必ず汚物を回収する作業が生じます。
飛行機、バス、船だって同じですね。

素人でもそのくらいは思いつくことでしょう。車庫で回収と掃除をすると。

もちろんそうなのですが、実は列車のトイレにはある「黒歴史」があったのです。

それは・・・

列車のトイレで捨てていた場所とは?

「捨てていた」物とはもちろんトイレで発生する汚物のことです。
「タンクに溜めて車庫で回収でしょう?」とお思いでしょうが、それは今では当たり前のタンク式トイレの場合のみなのです。つまり「タンク式でないトイレ」の列車も数多くあったのです。

では以前のタンク式でない列車のトイレは汚物をどうしていたのか?ということですが、結論から言うと「線路に垂れ流していた」のです。

もちろん大も小もトイレットペーパーも全てです。

もっとわかりやすく言えば、便器の穴の真下が線路や枕木で、古い客車などは実際に枕木が見えていました。

今じゃ信じられませんよね。だからそういう垂れ流し式の車両のトイレには以下のような表示があったのです。

↓クリックで別タブ(ページ)で拡大表示されます。

引用元:写真AC
https://www.photo-ac.com/

停車中は使用しないでください」、なぜでしょうか?
これこそ「線路に垂れ流す」からなのです。

停車中に使用すれば・・・結果は分かりますよね?
停車中というのは殆どの場合駅での停車ですから、この間にトイレを使用したら列車が発車した後の線路はまさに惨事となります。

だから言い換えれば「走行中にだけ使って良い」ということなのです。
もちろん停車中は自動的に鍵がかかる、なんて構造にはなっていないのでいつでも使えますが、相当前の上野駅の長距離列車ホームで列車が発車後の線路でおぞましい光景を見た事もありました。

走行中だってどこかに飛んで行くわけだから、おぞましさ、不衛生さは同じじゃないか、という疑問が生じますね。
でも少し違うんです。

それは列車が走行すれば、車体下側を流れる高速の走行風、そして線路に汚物が叩きつけられることによって粉々になって飛散するのです。もちろん液体も同様です。

しかし不衛生であることに変わりはありません。停車中に線路直下に落とすか、走行中にバラバラになった汚物を遠くまで飛散させるかの違いだけです。

この飛散物による建物や洗濯物、外にいる人に対しての被害を黄害(おうがい)と言うそうですが、沿線住民からの苦情も多かったらしく、国鉄が黄害が及ぶ範囲を調べた事があったそうです。

何年の調査かは忘れてしまいましたが、晴れて無風の日でも線路から2㎞くらいまでは被害が及ぶことが判明したそうです。つまり線路から2㎞離れた場所の洗濯物が真っ黄色になってしまったりするのです!
(在来線での調査なので速度は出ても100km/h以下と思われる。)

その後タンク式トイレが増えて行きますが、この調査結果だけがきっかけだったというわけでもないようです。
それは年と共に人々の衛生環境に関しての意識が変わって来たからということなのでしょう。

私も幼少~少年期は垂れ流し式の列車が多かったので、トイレに行って下が見えるのはビックリでした。
特に走行中は迫力ありましたね。もちろんボットン便所みたいな大きな穴が開いているわけでもないし(小さめの穴)、その頃でも新幹線や在来線特急列車はタンク式でしたけど。

 

列車のトイレがドアを開けたらこんな↓だったら恐ろしいですよね。

↓クリックで別タブ(ページ)で拡大表示されます。

引用元:写真AC
https://www.photo-ac.com/

 

その後、列車の和式トイレの多くは以下のようなタイプになりました。
しかし洋式が普及するのはわりと後の方でしたが、その理由はよく分かりません。

↓クリックで別タブ(ページ)で拡大表示されます。

引用元:Wikipedia  著作者 PekePON
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3235121 による

列車のトイレもその後洋式が増えて、和式の物を洋式に改造する車両も多くあるようです。
なお列車に限らず和式で便器の所が一段高くなっているのは男子小用利用でも周辺の床を汚染しにくく出来る、という事だそうです。実際には汚れますけどね。

 




自ら体験した列車トイレの黄害

線路から2㎞も離れていても、洗濯物が黄色くなるなんて考えただけでもおぞましく恐ろしいです。
単に洗濯物を干せないだけでなく、そんな場所に住みたくありませんね。

実は私は身を以てこの黄害を経験したことがあります。
高校生の夏休みに友人と信州に旅行に行き、帰りは軽井沢から普通列車で上野まで乗ったのです。
当時はまだ北陸新幹線(長野新幹線)の開通はまだまだ先の話し、という時代でした。

車両は古い茶色の客車でした。特急や急行もビュンビュン走っていましたが、特急券の節約の他に、のんびりと各駅停車で帰りたい、ということでした。

碓氷峠を越えて横川を過ぎ、高崎に向かう区間はほぼ平坦の直線で古い客車と言えどもスピードがかなり出ます。

旧型客車は冷房が無いので夏は窓を開けますが、実に気持ちの良い走行風に身を任せていました。
今でもはっきり覚えていますが、その時来ていた服は白いタオル地の半袖だったんです。タオル地のサマーセーターと言えるのでしょうか。

真夏でも汗を吸うし着心地が良くて買ったばかりを旅行に持って行ったのでした。

しかし帰宅後洗濯機に入れる時に、襟から胸部にかけての部分に黄緑色のシミが多数ついているのに気が付きました。
そう言えば窓を開けている時に水滴が飛んで来るのを感じたのですが、「速度が速いので天気雨の粒とかだろうな」くらいしか思っていませんでした。

しかしこの黄緑色のシミは洗濯しても薄くなるだけで完全には取れません。
シミの部分に直接洗剤の原液をかけて再度洗濯機に投入したのですが、さらに色は薄くなるものの完全ではありませんでした。

その後数度着たのですが、やはり真っ白なタオル地に臼黄緑のシミはみっともないので残念ながら早々と処分してしまいました。

そしてこのシミと走行中の水滴の真実を知ったのは大分後でしたが、実はこれは「水滴は垂れ流し便所からの汚水の飛散」であり「シャツの黄緑色のシミはその飛散した汚物のもの」だったのです!

数年後に知ったとは言え、これはかなりのショックでした。
でも旅行の帰宅時も全く匂わなかったんです。飛散したものだからなのか、長時間そのまま着ていたわけではないからなのかは分かりませんが、今思い出してもショックと軽い吐き気を感じてしまいます。

だから日常的に沿線にお住まいの方が知らない間に黄害に汚染されている、という事は耐え難いことだと思います。
だって洗濯物に限らず寝具や食事も被害にあっている可能性が高いと言えますね。

ちょっと恥ずかしかった列車のトイレ

何が恥ずかしいの?ということですが、それは客室内の妻板(デッキに出るドアが付いている仕切りのこと。無い列車も多いが)に「トイレ使用知らせ灯」という親切な目立つランプがあるのです。

最近の車両は「客室内でもさほど目立たないデザインになっている」ものと「客室内には表示灯は設置せずトイレの前に行かないと使用中かどうか分からない」ものに分かれていると思います。

特に後者は近年多く、利用者に対しての配慮を感じます。

駅やデパートのトイレと違い一車両に普通は1箇所ですし、全ての車両に付いているわけでは無いので、座席からトイレが開いているかどうかわかるのは便利とは言えます。

でもランプがしばらく消えないと「まだ入っているのかよ!」とかトイレを使わない人にまでそう思われているような恥ずかしさがあります。列車を降りれば二度と会うことは無いんですけどね。

しかも古い車両の「知らせ灯」は以下のように非常に見やすい(目立つ)ものとなっていました。
車両は国鉄時代の客車オハユニ61です。大正10年製造の木造車両を昭和30年に鋼体改造した車両だそうです。

↓クリックで別タブ(ページ)で拡大表示されます。

引用元:Wikipedia  著作者 NEXT-EXIT
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=128060993 による

これは親切とは言え、ちょっと恥ずかしいですよね。まあ時代を考えるとむしろ客室内に使用中表示灯があるのは画期的と言えるのかもしれませんが。




海外の列車トイレと比べると

全部調べたわけではありませんが、海外で鉄道網が発達していると言えばやはりヨーロッパだと思います。
驚くのは鉄道はもちろん様々な文化が世界で非常に高水準であるにもかかわらず、2023年現在でも垂れ流し便所の車両が非常に多いようです。

もちろん高速列車のフランスのTGV、ドイツのICEなどはタンク式ですが、他の特急列車(インターシティなど)は立派で美しい車両なのにトイレは垂れ流しが多いそうで、一部は200km/h走行を行う高速列車も垂れ流しの車両があるそうです。

これは本当にびっくりしました。ヨーロッパでこうなのですから、世界の多くの国はまだまだ垂れ流しが多い、という事になるのでしょう。

ちなみに日本は2002年までに垂れ流し式を世界で最初に廃絶した国だそうです。
日本はウォシュレットなどトイレの改善に非常に熱心な国でもありますね。

近年の列車のトイレは?

新幹線に限らずローカル線用の車両でも(新型は)トイレは車椅子対応の大型のものが主流となっており、使い勝手の良さ、オムツの取り換えスペースも標準設置、清潔感などデパートやホテルのトイレと比べても全く遜色ないほどになって来ています。

YouTubeで海外から来た観光客が新幹線を紹介する動画で、トイレの中も紹介して「Ultra cleanness!」と叫んでいましたが、誇張のない感じたままの本心だと思いました。

以下に近年増えて来たタイプのトイレの例として載せておきます。
車両は近鉄23000系特急電車のものです。

↓クリックで別タブ(ページ)で拡大表示されます。

引用元:Wikipedia  著作者 Oka21000
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=25444053 による

 

最近の列車のトイレの素晴らしさ、清潔さからは2002年まで存在した垂れ流し式など全く想像もつかないものです。

しかしほんの20年前まで(2023年基準で)線路に垂れ流して空中に飛散させるトイレもたくさんあった、という事を知っておいて欲しいな、とも思います。

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2 Responses to “列車のトイレは・・・”

  1. キュア梅盛 より:

    10年前に行ったモスクワのリージンスキー駅(バルト3国方面への列車の発着駅)に併設の鉄道博物館で見たソ連時代にモスクワ-レニングラード間の高速列車として開発された(日本の国労が0系新幹線のデータを提供したのを基に作ったという話も)ER200型電車はなんと!!垂れ流し便所でした。流し管が後方に向かって流れる様になっているとはいえ、時速200キロでの垂れ流し・・・想像しただけで恐ろしい。

    • kaikoshumi より:

      キュア梅盛様
      こんにちは。コメントありがとうございます。
      ER200は知っています。新幹線0系を思い切り不細工にしたような顔をしていました。
      TGV開業よりだいぶ前だったので、当時各マスコミが「ついに新幹線がソビエト(当時)に抜かれる時が来た!」と騒ぎ立てる記事を書いたものです。

      昔も今も「日本はダメだ」みたいな自虐的な記事をマスコミは好みます。理由は題名を読んだ人が頭にくるので本文も見てもらいやすいからです。
      これは多くのWeb記事を書いてきたのでわかります。顧客からも「自虐的な題名にしてくれ」と言われたこともありますので。

      しかしER200は故障続きでまともな運用は出来ませんでした。少なくても200km/hで継続して走れませんでした。
      やはり日本は培ってきた歴史と経験がありますから、新参者が簡単に出来る分野ではありません。

      調べるとEu諸国にも今でも200km/hの垂れ流しは割と多くあるらしいです。
      沿線地域はもちろん車両の床下もおぞましいことになっているはずなので、整備清掃の方々も気の毒です。
      環境とかうるさい感じがする地域なのに実態がともなっていませんね。

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こんにちは。私の名前は「 ノンダクレー」と申します妻子持ちの普通のクソ親父であります。
東京で生まれ育ち、横浜市に長いこと住み、現在は北海道札幌市におります。
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