バイオニック・ジェミー
スーパーウーマン バイオニック・ジェミー
バイオニック・ジェミーをご存知、或いは覚えていらっしゃるでしょうか?
1970年代後半に作られたアメリカのドラマで、日本でも1977年からテレビドラマとして放送されました。
何回か再放送されていますし、昔の番組の紹介で一部使われたりしてますので、お若い方でも名称くらいはご存知の方もいらっしゃるかと思います。
スカイダイビング中の事故で大怪我を負ったジェミーが最新の科学・医学によるバイオニック組織の移植により、サイボーグ化したスーパーウーマンとして活躍する、というドラマです。
これとほぼ同じパターンの男性版として「600万ドルの男」という作品がありました。
実はバイオニック・ジェミーは、600万ドルの男から続いているドラマなのです。
バイオニック・ジェミーの概要
本ドラマは全く知らない方でも以下の内容を読めば大体どのようなものか、は理解出来ると思います。
なおバイオニック・ジェミーの事を初めて知る方は、本ドラマの前作とも言える「600万ドルの男」についての記事を最初にお読みになって頂いた方が良く理解でき、興味も湧くとは思います。
●バイオニック・ジェミー
・正式名称:
The Bionic Woman(アメリカで1976年~1978年まで放映。)
・日本での名称:
地上最強の美女バイオニック・ジェミー(1977年1月~10月、1978年3月~8月)
本記事では「バイオニック・ジェミー」と言う名称で扱います。
・主演:
リンゼイ・ワグナー
・概説:
先述の「600万ドルの男」からの続きともいえる内容となる作品。
元プロテニスプレイヤーのリンゼイ・ワグナー演じるジェミー・ソマーズは、スカイダイビング中にパラシュートのトラブルによる墜落事故で両足、右腕、右耳に重傷を負う。
彼女の婚約者であるスティーブ・オースティン空軍大佐(600万ドルの男の主人公)は、科学情報局・OSIに依頼し、彼女に自分と同じサイボーグ化手術を受けさせた。
彼女もバイオニック技術によるパワーを獲得するが、バイオニック組織の移植による拒否反応が起こり、スティーブの事も含めて多くの記憶を失ってしまった。
しかし自分を救ってくれたOSIのためにバイオニックパワーを生かしてエージェントとして活躍することになった。
これらを読んだ方は「なんだ、同じエピソードで男女それぞれサイボーグ化手術を受けさせて2種類の番組を作っただけじゃないか。」とお思いになられることでしょう。
おっしゃるとおりでございます。
でも本当にこの2作品は面白かったんです。YouTubeにもいくつか上がっているようです。
しかもアメリカではこの2作品を同じ放送局が曜日を変えてほぼ同時期に放送されたこともあるのです。
アメリカだったから、そういう時代だったから、かもしれません。日本でやっていたら今昔問わずブーイングの嵐だった可能性もあるかもしれません。
二匹目のどじょうならぬ、二匹目も一匹目と共演させるんですから。
↓主役を演じたリンゼイ・ワグナー
(2008年7月撮影のお姿。2023年7月現在74歳、お元気でご活躍されています。)
引用元:Wikipedia Mrquizzical – 投稿者自身による著作物, パブリック・ドメイン
https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4491366による
●バイオニック・ジェミーのパワー
・右耳 : 非常に高感度で明瞭な音を捉えることの出来る能力がある。
1㎞先の会話ですらキャッチできる。また完全にドアを締め切った別の部屋の会話も聞こえてしまいます。
これらの耳の能力はドラマ中で何回も出て来て痛快!と感心した記憶があります。
でも1㎞先とかの会話内容が分かるというのは、会話以外のノイズを除去する装置が付加されているのでしょう。
彼女の脳の処理能力だけでは難しいかもしれません。
・右腕 : パワーは約2.12ps(馬力)だそうです。今風のSI単位系に計算しなおすと1558W、たった2馬力超と思われるかもしれませんが、殆どの人は1馬力を出すのがやっとです。
1馬力は75㎏の物体を1秒間に1mの高さに持ち上げる力ですので、かなり大変な力と言えます。
しかも連続で、なんて人間はちょっと無理と言えます。
動力源は原子力電池だそうで、片手だけで1tの物を持ち上げることが出来るとか。正確に計算していないのでこのパワーで1tをどんな感じで持ち上げることが出来るのかはちょっと分かりかねますが、素早く持ち上げたり投げたりするにはパワーは全然足りない気がします。まあそのような場面はビビビビの音と共にスローモーションになりますね。
・両足 : 片足で6.7psの高出力、それぞれに原子力電池を搭載しているそうです。
この脚力で最高速度は約96km/h(60mph)、100mを3秒79で走破します。これは600万ドルの男と同じスペックのようです。多分同じ電池とモーター駆動システムを流用したのでしょう。
数mの壁を飛び越えたり、10階建てのビルから飛び降りることが出来るそうですが、ビルから飛び降りるのは足のパワーは無関係で、それよりも着地時のショックを吸収するストロークが長く、かつ強固なショックアブソーバーが必要になります。見る限りはそんなショックアブソーバーを搭載/動作しているようには見えないのですが・・・
心臓は右腕、両足に血液を供給する必要はないので、95km/hで走っても心拍数は平常時と変わらないそうです。
これも600万ドルの男と同じです。恐らくバイオニック・ジェミーの開発(手術)に当たり、600万ドルの男で実績のあるシステムや部品を踏襲したと思われます。この手のものは信頼性が一番大切ですし、しかも数量が少ないとは言えコストダウンにもなりますね。
バイオニック・ジェミーの活躍
彼女の活躍は600万ドルの男と同じように、変身したり武器を使わずに生身の体で多くの困難に立ち向かいます。
あくまでも主役のジェミーは一人間、政府機関の仕事をするといっても基本は庶民であり、ごく普通の感情を持った一女性にすぎないのです。だからすごく人間臭いドラマが展開されて行きます。
ただ前作の600万ドルの男のように、変身はしないけれど非常に人間臭いヒーローというだけでなく、女性らしさを生かした活躍のドラマに仕上がっていました。
例えばドラマ中でミスコンに出場したり、女子プロレスラーになったり(相手にリングのロープを巻き付けて勝った)、閉じ込められた部屋から脱出するために鉄の扉を蹴破ったりして、一緒にいた人が目を丸くして驚くさまはTVを見ているこちら側としても痛快以外の言葉がありません。
もちろんそのような場面ではいきなりスローモーションになり「ビビビビ・・・」という効果音が流れます。
ミスコンに関しては女優としても大変美しい方ですので選出されること自体当然と言えるかもしれません。
不気味で意外なジェミーの敵
ジェミーの敵として、非常に不気味で強力な敵がいました。
それはフェムボットという人間そっくりのロボットでした。
見た目は人間そのもの、でも驚異的なパワーを発揮して、ジェミーの行く手を阻止します。
でもジェミーの攻撃を受けてしょっちゅう顔のカバー(お面)が取れて中の部品が丸見えになってカッコ悪くなってしまいます。
人間そのもの外観、と言っても実際人間そのものが演じているのですが、お面が取れた時の顔はかなりの不気味さでした。
フェムボットの種類によって複数の種類があったようですが一例で一番気持ち悪いと思われるものだと以下のようなものでした(YouTubeより引用)↓
初めて見た時は「うぁ~気持ち悪い!」と思いましたが、ある程度の年になって冷静に見ると実にカッコ悪くおかしすぎる、と感じました。
私は電子系出身で、電子工作のマニアという側面もありますので、これを見ておかしな部分満載だと思ったのです。
・口の部分のスピーカーは、これは昔よく作った「2石レフレックスラジオキット」や「6石スーパーラジオキット」などによく使われていた口径が5~6㎝の一番安いスピーカーです。最大許容入力は250mW程度。
当然大きな音は出ないし、少しでもボリュームを上げるとかなり音がビリビリと割れてしまいとても聞けたもんじゃない音質だった。ましてや野外で使える代物でもないし、取り付けの際はスピーカー後部から専用金具を使ったり接着剤で固定していた。恐らくこのフェムボットのスピーカー取り付けはマグネット部分をプリント基板の穴に突っ込んで専用金具か接着剤を使っていたはず。
・眼球はどう見ても人形などに使う義眼。光学センサーとはとても思えない。
・部品が付いているプリント基板と思われる部分が金色一色になっている。しかも部品のリード線を挿入する部分も絶縁されていない。これでは全面ショートであり、何も機能は成さないお飾りとすぐにわかる。
・この上には人間の顔のカバーが付いていたが、ペラペラの薄いゴム状だったので、戦闘で相手からグーパンでも食らったら一撃で電子部品がぶっ壊れて終わりだと思う。
など余計なツッコミをしてしまいましたが、表面の人間の顔のカバーの出来は驚くほど精巧でした。
CGとかがない時代なので、全て特殊メークの人の手作りだと思います。これは「さすがアメリカ!」だと思いましたね。
なおこのフェムボットは600万ドルの男でも登場していますし、ゴールドマン部長そっくりのフェムボットも登場していました。
印象的だったバイオニック・ジェミーのオープニング
毎回のオープニングの画面が私にはとても印象的でした。
昔よくあった「コンピュータ的な音声」で、彼女の年齢、事故、手術のことなどを「昔のコンピュータ的な文字」で説明するのです。
日本での放送分は日本語吹き替え(でもコンピュータやロボット的な音声)、画面の文字は英語のままでした。
なぜかカッコ良くて、未来的、近い将来到来するであろうコンピュータ社会を予想させるようなものでした。
以下は https://youtu.be/t4OR50otvH4 からのスクショですが、オープニングの動画も貼っておきます。
(但しリンク切れはご容赦下さい)
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